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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

【書評】カミングアウト―LGBTの社員とその同僚に贈るメッセージ

「カミングアウトすることで、否応なく誠実で透明性を保ち、勇敢に成らざるを得なくなる(中略)もっと高い目標を目指し、クローゼットに閉じこもっていたときよりも、ずっと大きな人間になれるはずだ」(本文から)

LGBTの方は一説には人口の5%とか7%とか言われていますが、今のところ僕の知り合いにはLGBTの方はいないです。もしかしたらそうかなと思う人はいないではないですが、あまり聞くことも出来ないですし、おっさんずラブはヒットしましたけど、日本はLGBT後進国なのかもしれません。

また、以前ブログに書いたことがありますが、前職の会社の時に隣の課の管理職が多分ゲイの方で、当時20代でまだかわいかった(?)僕にやたら触ってきたり後ろから抱きつかれた事があって、マイノリティの方で世間的には弱者として見られている方だったとしたも、組織での強者の立場を利用してストレートに生きている僕へのセクハラはあるのだと思った事がありました。物事は常に複雑で多面的です。

さて、本書ですが、イギリス最大の企業であるBPの元CEOで世界で、最も尊敬されるCEOにも選ばれた事があるジョン・ブラウンさんが書かれた本です。

この本はジョン・ブラウンさんの個人の話、LGBTの現状、他の人のインタビューの大きく3つで成り立っていますが、繰り返し書かれているのが「クローゼットに隠れる」という表現です。

要するに本当の自分を隠して(クローゼットに隠れるようにして)、自分を守ることを指している表現なのですが、想像以上につらいでしょうし、心を痛める状態なんだなと思いました。

例えばパートナーがいたとしても、他人にその事を話す時は偽って男性の名前にしたり、結婚しない理由を考えたりしないといけない訳です。

そういう行動はパートナーに対して申し訳ないという思いや、他人にバレないために常に気を使っているのでそういう事に考える貴重なリソースを奪われているわけです。

また、不正直に生きているとの後ろめたさから、自分が仕事で成し遂げた成果も素直にそのようにアピール出来ないということもあるようです。

優秀な人というのは性別、人種、性的嗜好、年齢限らず優秀だと思うので、会社にとってもものすごい損失だと思います。

ただ、救いなのは確実に世界はLGBTの方に理解がある世界になりつつあるという事です。まだ職種や国によって濃淡はありますが、自分に正直に生き、それを尊重するような世界になればいいと思います。ジョン・ブラウンさんもそのように希望を持たれているようです。

LGBTの方が書かれた本はたくさんあると思いますが、この分野に問題意識をお持ちの方にはこの本はおすすめです。