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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

【書評】統計学の図鑑

統計学の知見からうまれた言葉で好きなのは「異常値は標準に回帰する」という格言です。

どういう事かと言いますと、例えばゴルフ大会をTVで見てる時に、初日に自己ベストでトップに立った選手がいたとします。そうすると解説の人が「この調子を継続して欲しいですね」と言うようなコメントをする事があると思います。

特に変な事は言っておらず、その通りかなと思う訳ですが、統計学の知見があると、「自己ベストとは異常値とも言い変えられますから、2日目以降はスコアが落ちるはず」となります。

もちろんTVでそんな事行ったら興醒めなので、仮に知識があっても言わないと思うのですが、後者になる確率は高いわけです。

また、2018年に北陸では50年ぶりに大雪が降ったのですが、翌年は雪が全く降りませんでした。特に被害が大きかった福井県は次の大雪への備えに頭を悩まされていると思うのですが、統計的に見ると次の大雪は50年後ですから、そこまで急いで対応して財政を悪化させなくてもいいような気がします。

しかし大雪という異常値が続かないと言い切れる事も出来ません。人命が関わる問題はとても難しいと思いますが、限りある財源ですから、いずれにしても冷静な議論が必要だと思います。

そんな訳で統計的な知識はとても役に立ち、ビジネス紙でも時折統計学の特集が組まれますが、何故かブームにはならず、あまり盛り上がらない印象があります。そしてブームも言ってみれば異常値ですから、その内沈静化=標準に回帰してしまう訳ですが。

ブームという話で続けますと、母集団の属性が変化して一過性のブームと思われていたものが定着することはもちろんありえます。例えば、スマホも最初は一部の人のブームだった訳ですが、今は持ってるのが普通だったりするので、上記の格言は当てはまりません。

「異常値は標準に回帰する」は、いわゆる正規分布を描く事象に適している格言です。統計学の偉大な発見のひとつはこの正規分布の発見です。

身長や体重、ニワトリの卵の重さ、お財布に入っているお金、工場で作った製品の不良率、これらはおそらく全て正規分布を描きます。

統計学はこの正規分布をどの様に活用するのかという事を発展させてきたという側面がある為に分かりにくくなってるのではないかと個人的には思っています。

特に僕がまだ完全に理解出来ていないのが検定です。

検定は、ある仮説を立てたとして、それが成り立つ可どうか確かめるための統計的手法なのですが、仮説を確認するためには確認する対象が必要な訳です。

つまり、確認対象として否定したい仮説を設定する必要があり、それを「帰無仮説」と呼びます。そして、新たに証明したい仮説を「対立仮説」と呼びます。

その上で検定行うのですが、ここから先は僕もまだ勉強中でうまく説明が出来ません。

そんな訳で統計学に関する本は何冊か買ってみたのですが、この「統計学の図鑑」が1番わかり易いと思います。図鑑だけあって、図が多様されているので、文系の僕でもある程度までは頭に入ってきました。

例えば偏差ですが、これは平均からのバラツキなんですよね。僕は偏差値世代なので、偏差とは何か基準の値なのかなと漠然と思っていたレベルだったんですが、バラツキを表す手法というのがビジュアルで分かったりしました。

ただやはり検定あたりから当然難しくなってきますので、ちゃんと勉強しないと分からないですけど、統計学を勉強したいと思ってる人にはオススメの本です。

統計学の図鑑 (まなびのずかん)

統計学の図鑑 (まなびのずかん)