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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

仕事が出来て優秀な人ほどパワハラ社員になりやすい

このブログで何回か書いているんですが、仕事が出来て優秀な人ほど部下からパワハラと訴えられる可能性があるのではないかと思っていまして、その事について書いてみます。

僕は人事系の社員なので、人事データは比較的入手しやすい立場にあるんですが、以前データをかき集めてエクセルで巨大なデータセットを作ってパワハラについて分析した事がありました。

いくつか分かった事があるのですが、その中でちょっと衝撃的だったのが、最優秀層の管理職の一部が部下からはパワハラと思われてしまっているという分析結果でした。

分析する前は、強引に物事を進めようとするような典型的なパワハラ管理職を想像していたのでかなり驚いたのですが、今回説明の為の図を用意してみました。

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左側が優秀な社員で右側が普通の社員です。

そして社員を囲んでいる立方体は、縦軸に「熱意」、横軸に「能力」、奥行きに「知識」という3軸によって空間が成り立っています。

優秀な社員というのは、熱意がありますし、能力も高くて、社内の情報にも通じていて、読書家だったりもしますので知識が豊富にあります。つまりこの立方体の空間がとても広いと言うことが言えます。

一方で普通の社員は、熱意はそこそこで能力も普通かこれから伸びていく途中です。知識もそれなりだったりするのでこの立方体の大きさが優秀な社員と比べたら小さくなっています。

熱意はあるけど能力は普通とか、立方体の形は人によって様々だと思います。サイコロに近い形の人から、縦長の人、横長の人もいると思います。「認知範囲の広さの箱」とも言い換えてもいいかもしれません。

この空間の大小は当然目に見えないものですが、優秀な社員というのは、この広い空間を総動員して仕事をしている訳です。当然OJTによる部下指導にもフル活用する場合もあると思います。

この立方体は、当然本人の努力によって少しずつ大きくなっていく訳ですが、急には大きくはなりません。

優秀な社員である上司が、普通の部下に対して、全力で指導をしたとすると、どうなってしまうのか。

必死に食らいつくような部下ならいいのですが、この立方体の大きさが違えば違うほど、上司にとってはどのように教えても上手くいかないし、部下にとっては上司が何を言っているのか分からないというケースが生じる事がありえます。

もちろん、上司が部下のレベルを勘案して、部下に応じた指導が出来るのがベストですが、身も蓋もない言い方をしてしまうと、出来る社員は出来ない部下の気持ちが分からなかったりしますし、また出来るが故に難易度が高い仕事を任されていたりするので、余裕がなくなってしまい、部下にきつく当たってしまうケースもあるのではないかと思います。

つまり、仕事が出来る優秀な社員は構造的にパワハラと捉えられやすい性質を有してるのではないかと思うのです。

そして会社は基本的に優秀な人が経営している組織です。パワハラがなくならないというのは、組織というものが内包している宿痾なのかもしれません。

また、パワハラを擁護するつもりは一切ありませんが、パワハラか否かを判断するのは部下であり、最近は部下側の発言力が強まっています。良かれと思った発言や行動が間違って捉えられてしまったら、元も子もありません。

また、上司の言っている事が分からないと感じた場合、すぐにパワハラだと言うふうに捉えてしまうケースも増えているかもしれません。

このような難しさの中で、優秀な社員に求められるのは、謙虚さ、他者共感力、心に余裕を持つことだと思います。

「謙虚さは強者ほど身に着けなければならない」というのを何かで読んだことがありますが、本当にその通りなのだと思います。

また、上司は部下の熱意、知識、能力レベルを判断して、指導の仕方を変えていく必要もあります。相手の認知レベルの少し上を狙うのは容易ではありませんが、努力はすべきです。

そして、心に余裕を常に持ち続けるために十分な睡眠、食事、週末のリフレッシュは不可欠です。

愚痴のひとつも言いたくなってしまいますが、上司も部下も真面目なのにお互いが不幸な結果になってしまわない為にもマネジメントは常に工夫と忍耐と寛容な心が必要だと思います。