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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

イノベーションを起こす確実な方法とは?

日経新聞東洋経済、週間ダイヤモンド、プレジデントあたりを読んでいると「イノベーション」の文字を見ないことはないと思うのですが、依然としていいモノを安く大量に作れば売れるという高度成長期以降の日本企業の様式からは逃れ難く苦しんでいる企業が多い事の裏返しだと思っています。

イノベーション」とは、従来の企業活動の否定だったり、一足飛びに今までとは違った別の場所に飛び降りて、今までのリソースは使いつつも全く異なるサービスをしましょうというような事だと思うのですが、企業というのは今までの勝ちパターンで社内の組織体制とか会議体や社内の風土などが出来上がってますから、そこに手を入れるのはかなり難しいのではないかと考えます。

話は少し変わりますが、昔金魚を飼っていた事があります。たまに水槽の掃除をするのですが、いきなり水を全部変えてしまうと中の金魚が死んでしまうのですよね。水槽の水は半分ずつ変えていかないといけなかったりするんですが、企業も同じだと思っています。既存事業でキャッシュを稼ぎつつ新規事業に投資するのは経営者でないと出来ない仕事です。

また、確か以前パナソニックさんにはエアコン事業部という事業部があったと思うのですが、人間というのは組織内で最適化しようと考える生き物ですから、エアコンの品質を高めるというような行動様式を取りがちだと思ってます。

我が家にもパナソニック製のエアコンがありますが、普通に10年以上は持ちますから買い替え需要はあまり見込めずに少子化により日本に必要なエアコンの絶対数は急激に減っていっているでしょうから、日本国内におけるエアコン事業は構造的に縮小するしかない訳です。

ただ、これをすべてひっくるめてスマートホーム事業部にすればいい訳でも多分なくて、どういう粒度で事業を定義していくのか誰も答えを持っていない中で津賀社長も難儀されているのだと思っています。

そんな喉から手が出るほど欲しい「イノベーション」ですが、弊社ではいくつかイノベーティブなサービスや製品があります。

社内にいると分かるのですが、弊社のイノベーティブなサービスなり製品について、この人が居なくなってしまったら一体どうなってしまうんだろうというキーパーソンがいます。

本当に凄い方々なのですが、ビジネスエコシステムの全体を構想出来て、周囲を巻き込んで、細かい実務的な部分も分かっているので的確な指示が出来たりするような人です。

肌感覚としてはメーカーの大企業では100人にひとりくらいの割合でこういう構想が出来る人がいて、実際会社でチャンスを掴んでモノにするのは3000人にひとりくらいのイメージです。いくら優秀な人であっても時代のめぐり合わせとか、タイミングの善し悪しはあると思います。ただ、ソフトウェアだともう少し割合は増えるかもしれません。

理詰めで「イノベーション」が出てくるという事もなくはないと思いますが、「イノベーション」とは想いを持った圧倒的な個人が周囲を上手く動かしながら事を成していくという事が多いのではないかと思っています。

ですので大切なのは会社で「イノベーション」を起こしたいのであれば、このようなキーパーソンを潰さない事だと思います。

ただ、難しいのは「イノベーション」を起こせるような人は、誰も考えてないような事を考えているような人である訳であって、周囲が理解する事が出来ないというジレンマが発生する可能性もあります。

また、「イノベーション」への投資はリスクでもありますから、経営としてのリスクマネジメントをどうするかは永遠の課題だと思います。自由にやらせ過ぎてもいけないし、今までの常識をベースに締付け過ぎてもいけない訳です。

例えばこう言う時によく出てくるiPhoneはエンジニアの地道なトライとスティーブ・ジョブズの拘りによって産まれたと思いますし、JR九州ななつ星も唐池社長(当時)が九州にもクルーズトレインを走らせたいという夢で大成功したと思います。ヤマト運輸の宅急便も最初に提案したときは役員全員が反対したそうです。

ですので繰り返しになりますが、想いを持って構想出来て、実行出来る人を潰さないというのが「イノベーション」を成功させる上で大変重要だと思う次第です。