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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

活躍するチームの法則

最近チームに関する本を読んだんですけどなんとなくイマイチでした。僕は会社で選抜研修を担当していまして優秀な人を200人くらい見てきており、また選抜研修ではグループワークを行って、最後に役員に発表するのですが、事業化まで行くようなケースから、活動途中で空中分解しかけたケースまでこれも何十チームも見てきました。

そんな中で活躍するチームというのがある程度見えてきたのでその事をちょっと書いてみようと思います、

その1 チームはリーダーの能力を超えられない

最初は選抜者が集まっている研修なので、メンバーのトータルとしての力が重要かなと思っていたのですが、リーダーの影響力はとても強いと思い直した次第です。

基本的にリーダーがチームの運営をしていくので、どの位の頻度でミーティングを開催するのか、進捗の管理はどうするのか、全体の流れをどう作ろうとしているのか、リーダーの力量はチームの成果に直結します。

と言うことでリーダーが迷うとチーム全体が迷います。リーダーの責任は重大です。

また、リーダーには専制的なリーダーと民主的なリーダーがいますが、成果という面ではあまりおおきな差はありませんでした。

ただこれは半年程度の研修なので、専制的なリーダーでもなんとか持ちますが、これが通常の業務とかだと部下が疲弊してしまうかもしれません。

とにかくチームの活躍の成否はリーダーが握っていると行っても過言ではありません。


その2 メンバーにニックネームを付けている

どういう事かと言いますと、例えば5人くらいのメンバーで活動する訳なんですが、データ分析が得意な人を「データサイエンティスト」と呼んだり、独創的なアイデアをだす人を「イノベーター」と呼んだりして、得意な役割をニックネームという形で強調して、メンバー本人も気持ち良く役割を受け持てるような雰囲気を作っているグループは活躍します。

メンバー間で得意分野が異なり、たとえば顔が広くてアポイントをたくさんとってくれる人と、ヒアリングや仮説を構築するのが得意な人、資料を作るのが得意な人とかが分かれているとさらに活躍する傾向があります。

あるリーダーにこの法則を伝えたところ「僕はドMなので犬と呼んで下さい」とかなり的外れな宣言があり、そのグループはちょっと残念な結果となりました。


その3 指導を受ける回数が多い

各グループは社内の有識者についてアポイントを取って指導を受ける訳ですが、自主的に沢山の指導を受けているグループは活躍する傾向があります。

やはり、自分達の意見をぶつけて、それに対してアドバイスを貰い、何度も繰り返す事でチームが成長します。

テニスの壁打ちのような物で、壁に何回も挑んでいったほうが上達するようなイメージですね。


その4 レベルの低いメンバーに対する思いやりのある無視

選抜者とはいえ、レベル差はやはりあります。グループのメンバーが5〜6名いる中で、やはり1、2名は残念ながらあまり活躍出来ません。

また、グループで討議していても、レベルが高いメンバーで会話していると会話のテンポがものすごく早いのですが、レベルの低いメンバーに合わせようとすると会話のスピードが落ち、内容もありきたりなものになってしまいます。

優秀なリーダーはその辺が分かっていて、会話は優秀なメンバーだけで進めて、最後にレベルの低いメンバーにも意見を聞いて孤立感を味合わせないような工夫をしています。

出来るリーダーは腹黒さと、それを見せない工夫もしっかりしています。


その5 活動に時間をかけている

働き方改革の時代にあまりこういう事を言うのは良くないのですが、量で質を上げるというのはやはりあると思います。

あるとても発表内容が良かったリーダーに後日聞いたところ、研修期間中は仕事そっちのけで9割研修に時間をかけていたという事でした。

いいかどうか正直微妙ですが、成果を挙げられる要素であることは間違いありません。


その6 働きかけが強い

活躍するグループは対外的な働きがけがとても強いです。事務局への問い合わせも多いですし、ダメ元でもまずは聞いてみるというような事をよくしています。

逆にダメなグループはこちらから働きかけても反応がなく、これ以上何も言われたくないと殻に閉じ込もってしまいます。


その7 きちんと議事録を書く

長い期間中活動をしていると議論が堂々巡りをしてしまうことがあります。また、有識者ヒアリングして、その時は覚えた気になっても、記録していないと人間は忘れるものです。

なので活躍するグループは面倒くさがらずに議事録をちゃんと出してきます。また、ごくまれに打合せ中に高速タイプしながら議論をまとめ、打合せ終了と同時に議事録を発行するスーパーな人もいます。


その8 データに基づいて議論している。

議論でありがちなのは、主張をぶつけ合って時間だけが過ぎていくパターンです。優秀なリーダーはそれが分かっているのでデータやファクトをベースにして議論を進めます。メンバーが異なる考えを持っていたとしても、データという時日には逆らえないので、議論も自ずと地に足がついたものになります。

以上、8つの活躍するグループの特徴を書きましたが、全て当たり前と言えば当たり前の内容です。

チームの運営に魔法の銀の弾丸はありません。地道に当たり前の事をスピード感を持って進めるというのが結局は成功の近道だと思います。

現役人事屋から新入社員のみなさんへのアドバイス

弊社にも新卒が入社してきましたが、そろそろ入社直後の緊張は取れ、研修で覚えることが山ほどあってよく分からないなーという時期でしょうか。

今僕は人事系の部門にいる事もあり、新入社員の方が疑問に思う事やアドバイスをいろいろ書いてみたいと思います。

その1 新入社員の配属先ってどう決まるのか?
職種限定で入社した人は別ですが、総合職採用で、入社後にどの部門に配属になるのかは、新入社員研修の配属後に決まるという方も多いと思います。

希望の配属先にならないともう転職を考えるというような方も増えてるみたいですが、会社側の事情としては、各部門からの要望を取り纏めて新入社員を割り振らないといけません。

当然、会社のニーズと新入社員の第一希望が完全にマッチする事はないでしょうから、不本意な配属になる事も多いと思います。

実は会社側も新入社員の特徴をあまり理解出来ていません。(本当はそれだといけないんですが)

ただ、優秀な人は基本的にどの部門に配属されても活躍しますし、そうでない人は何処にいっても厳しいです。

しかし、営業がやりたかったのに経理に配属されたというような例はちょっとしんどいですよね。

僕も新入社員で入った会社で、同期が100人くらいいる会社でしたが、ほとんどが東京勤務のなか、大阪配属が2名だけいて、そのなかの一人でした。

大阪は縁もゆかりもなかったのでかなり凹みましたが、かなり鍛えられたと思いますし、嫁さんもそこで出会ったので、逆境を楽しんでみると割り切れるといいかもしれません。


その2 希望の配属じゃなかった場合は?
配属先の希望を出して人事が調整する訳ですが、会社の決定に異議を唱えるのは中々難しいと思います。ただ、会社側も説明責任はあると思いますので、あくまで前向きに「第一希望と違う部署になりましたが、頑張ろうと思います。この部署に配属になった理由を教えてくれませんか?」というような聴き方をするといいと思います。

そこで、納得のいく回答があればそれでいいと思いますし、逃げるような対応だった場合、その会社は本当に大丈夫なのか頭の片隅においておいた方がいいかもしれません。

あと、キャリアスライドという考え方があります。例えば先程の例だと、営業希望だったのに経理に配属になったとして、財務諸表や決算書が作れたり読めるようになり、経理の仕事が楽しくなればそれでもいいですし、社内公募や転職で営業を希望する際にそれが強みになるかもしれません。

社会人としてこれからおそらく40年以上は働かないといけない訳ですから、自分の強みの分野は複数持っておくに越した事はないと思います。


その3 石の上にも3年ってどうなの?
法律違反のブラック企業はすぐ辞めるべきですが、辞めなくて良かったのか、辞めて良かったのかはひとそれぞれなので、ある人の成功ケースがそのまま自分に当てはまる事はないと思っておいた方がいいと思います。

また、辞めようと思った時期の景気も大事です。売り手市場の時に辞めるのか、景気が悪い時期に辞めるのかでかなり置かれた状況が異なると思います。

一番大切なのは辞めて後悔しない事です。僕は2回ほど会社を辞めてますが、一社目を辞めたときはかなり後悔しました。

やはり新卒で入った会社はそれなりに思い入れがありますし、会社は新卒を大事に育てています。中途で別の会社に入るとそれをすごくありがたいと感じる訳です。

なので、石の上にも3年はケースバイケースですが、ネットの情報に惑わされずに、自分でしっかり考える事が大切だと思います。


その4 配属先の上司がパワハラだった
自己愛性人格障害を疑った方がいいケースもありますが、他にもいくつか考えられるケースがあります。

1つめは、上司が極めて優秀なケースです。と言うのも優秀な上司は出来ない人の気持ちが分かりません。また、高い目標を持ち、部下にも同じ様に高い目標を求めがちです。実はパワハラと言われているのはこのケースが多いのではないかと思っています。

2つ目は、そこそこ優秀な上司で、異動が少なく、ずっと同じ部署で同じ仕事をしている上司です。このタイプは、現場で誰も物申せなくなってしまって、天狗になっているケースです。本当は人事部門がローテーションをかけなければならないのですが、出来ていないという状況です。

このような上司に遭遇してしまった場合は、まず証拠を残す事です。レコーダー等でパワハラ発言を記録しておき、出来れば複数回証拠を抑えて人事部や組合に相談する事です。

自分の身は自分で守るしかありませんし、命より大切な仕事はありません。


その5 すぐに転職を考えるのはどうなの(2020年3月追記)
上にもちょっと書いてますが、新型コロナウイルス感染症の影響で、インバウンドはかなり厳しい状態です。景気後退も可能性も高まってきた中で、今すぐに転職を考えるのは得策でないかもしれません。

この状況でお給料が払えると言う事は、売上げをしっかりあげられているか、会社の財務が盤石か、借金しているか(またはそれの複合か)のいずれかです。

法律に違反しているような過度のブラック企業は論外ですが、転職市場は相当に冷え込むでしょうから、避けたほうが無難だと思います。


少しは参考になったでしょうか、業種や老舗企業かベンチャー企業では対応すべき方法は少しずつ異なるとは思うのですが、少しでもお役に立てたら幸いです。

【書評】ローランド様の「俺か、俺以外か。」

「去る者、追い越す」(ローランド様語録より)

ローランド様を知ったのは、YouTubeを見てたらなぜかおすすめでHostTVが出て来て、なんだか面白い事言う人だなあと思っていたのが最初です。

最近は地上波にも出て、池袋で展覧会もやってて、このように本も出されたみたいで飛ぶ鳥を落とす(ローランド様風に言うと飛ぶ鳥すら来店したがる)勢いがあるなあと思っている次第です。

本書を読んでて思ったのが、ローランド様のやってる事は基本的には大喜利だなと言うことです。「ナンバー2のなり方教えて」とか、本のタイトルにもなっている「俺か、俺以外か。」とか、「俺は自分だけで輝ける。何故ならスターだからだ」とか、ファンの事をローランダーと呼んだりとか、「がんばろーらん」とか、一歩間違えれば(いや間違えなくても)ベタなおやじギャグです。 

友人が池袋の展覧会に行ったそうなのですが、入り口がローランド様ご本人用と、一般人用に別れてるらしくて、ローランド様のご本人用は金ピカで通常扉が閉まってるらしくて、もはやコントの番組用のセットと言っても過言ではありません。

しかし外見がお美しいのでそのギャップが面白いのですが、自分のキャラクターを際立たせて自らネタ化している点は特異だと言えます。

やり方としてロバート秋山のクリエイターズファイルや、友近が演じる水谷千重子と近いイメージです。ただ、お笑い芸人以外でこの手法を使っている人はあまり多くないと思います。(ガクト様は自分をネタ化している側面がありますね。ローランド様を弟分と公言しているのも理解できます)

自己プロデュースの才能と努力もあるのだと思うのですが、自分自身をネタ的に扱う事に躊躇が一切ないと言うのがローランド様の恐ろしい所であり、他のホストとの違いなのだと思います。

また、成功した芸能人やミュージシャンでも、鬱を患っていたりとか、クスリに走ってしまったりとか、人気商売はストレスが並大抵ではないと思うのですが、実態はどうであれ、ローランド様は常に自信を持っているように感じられつつ、おやじギャグ的な言動で親近感も湧かせるというのがとても上手いなと思います。

あと以前、HostTVでお客が結婚するからもう店には来れないというシチュエーションのやり取りがあったのですが、そこでローランド様は「卒業生みたいなものだから、疲れた時とかたまに来てくれたらいいよ。同窓会みたいな感じで」というような返答をしていたのを見たんですが、めちゃくちゃ頭の回転が早いなと思った次第です。

多分ホストにならなくても成功してたんじゃないかと思いますが、最近思うのは何か圧倒的な成果を上げてる人に共通するのは目標に対して狂気すら感じるこだわりを実行していう点です。ローランド様は美へのこだわりが半端なく、電源の延長コードが許せないとか、テーブルの位置はミリ単位で調整するとか、ちょっとおかしい(褒め言葉)のですが、それだけ突き抜けていて、非日常感を演出する自己プロデュースが圧倒的です。ただ、歌うのが好きというのは聞いたことがないんですが、どうなんでしょうか。気になります。

本としてはさらっと読めるのですが、Kindleで100冊くらい本を読んでて初めて電子書籍用の特典があってちょっとびっくりしました。

あと、あとがきの内容はちょっと感動します。高くてすぐ読めたけど、まあ買ってよかったかなと思いました。

基本的には自己啓発本なので、ローランド様に興味がある方はどうぞという感じですね。

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

  • 作者:ROLAND
  • 発売日: 2019/03/11
  • メディア: 単行本

バブル世代の上司とそりが合わない件

今の職場の課長と部長が揃ってバブル世代で、僕自身は氷河期世代なんですが、全くそりが合わないのでその事について書いてみたいと思います。N=2で判断していますので、極めて偏った見方になっているかもしれず、ご了承下さい。


その1 根拠のない楽観主義

これはネットでも指摘されてる事ですが、仕事の段取りや計画が甘くて「まずやってみようよ」が口グセです。やるのはスタッフな訳ですが、仕事増やしといて人事部や組合から色々言われてるので残業はダメとか、言ってる事が支離滅裂です。後輩には「あれが戦時中の上官だったら、とっくに部隊は全滅してる。平和な時代でよかった」と言って慰めてます。やはり組織はリーダーの力量以上のパフォーマンスは発揮出来ませんから、マネジメントから降りて頂きたいと切に願っています。


その2 上への媚

一緒に働いてて思ったのが、上への媚がすごいなと言う事です。我々氷河期世代は会社とは信用ならないというような感覚があり、冷めた目で会社を見てますが、バブル世代は会社に対する忠誠が半端ないと思います。なので上から言われた事は盲目的に従いますので、個人としての芯がないというか、フィロソフィーがないなと残念な気持になる事が多いですね。

僕も残業が多くて人事部に目を付けられているんですが、人事部への心象が悪いからということで管理職登用を見送ると言われ、それって自分の保身じゃないかと思いましたが、長時間労働をしてる僕も悪いといえばそうなんですが、情けない気持ちになりました。


その3 ITが苦手

会社に新しいITの仕組みが導入されると、物凄く拒否感を示しつつ、自分で理解することは早々に諦めてやたら質問してくる傾向があると思います。バブル世代が働き出してパソコンが普及しだしたのは入社してからしばらく経ってからですから、不幸と言えば不幸なんですが、SKILLは確実に劣っていると思います。


その4 マネジメントが苦手

バブル世代は、入社時はバブルでしたが、バブルが弾けたあとに後輩が入社せず、後輩を始動した経験がないままに管理職になっていたりします。

これも不幸であるとは思うのですが、部下としてはたまったものではありません。


その5 人はいい

氷河期世代みたいに合理的でややもすれば冷たく、かつひねくれてしまってる訳ではないので、ノリはいいし、人もいいと思います。ただ、何でしょう、仕事はちょっと別かなというのはあります。


しかし、バブル世代にとってみると、入社後はバブルが弾け、後輩も入らずに下っ端期間が長く、会社も教育費を削ってた時代で、それでも会社に尽くしてようやくそれを回収出来る時期になってきたのに文句ばかり言われるのでは腹が立つのではないかと思います。

氷河期以降の世代は危機感から成長意欲は高いのですが、バブル世代は会社への忠誠心は高いものの、成長意欲はそこまで高くなく、また50代に差し掛かってますから、これ以上のスキルアップは正直難しいと思います。

企業側としては、それでも諦めずに教育を施していくのか、本人の能力に応じた処遇にするのか、いずれにしてもこのまま逃げ切りが出来ないのではないかと思っています。

【書評】ファンタジーランド(上)狂気と幻想のアメリカ500年史

「自分が信じていることが正しいと思っているのであれば、それは正しい。」(本文から)

僕はアメリカ人の知り合いはいないのですが、GAFAはすべてアメリカの企業ですし、アメリカ人はとても合理的なのかなと漠然と思ってました。

しかし一方で進化論とかを信じない人もいるみたいで、聖書に書いてあることは全部正しくて、人類の歴史は7000年くらいしかないと信じてたりとか、なんと言ってもトランプさんを大統領に選んでしまった国ですから、なんかよくわからないなと思ってこの本を手に取った次第です。

結論から言うと、合理的な思考をするような層と、聖書に書いてあることが全部現実だと思っている層がそれぞれ存在している国がアメリカなんだと思った次第です。

アメリカという国の成り立ちとしても、そもそもプロテスタントは、カトリック権威主義的な傾向への批判があって、キリスト教徒一人ひとりが真実が何かを見きわめるべきであるというような思想を持っていて、さらにその急進的な過激派がピューリタンだったようですから、ご先祖からして思い込みが激しい人たちだったのだと思います。インディアンを虐殺しながら西進するのを Manifest Destinyって言ってしまうお国柄ですからね。

本書の中で個性的な人物が何名も出てくるのですが、特にアン・ハッチソンという女性のエピソードは印象に残ります。熱心なピューリタンの信者だったのですが、カリスマ性があり、次第に気に入らない聖職者の話を聞かなくなり、自分自身が説教をするようになっていったそうなのです。どうも自分が直接的に神の啓示を受けたという確信があり、聖書以外の本を読む必要性がなく、自分が感じた真実は何よりも重要という思考を持っていたそうで、反知性主義アメリカの宿痾なんだなあと感じた次第です。

そういえば、昔母親がスピリチュアルにハマりかけてちょっとやばかった時にシャリーマクレーンのアウト・オン・ア・リムという本が家にあった事を今思い出しました。シャリーマクレーンの遠い御先祖を辿るとアン・ハッチソンに行きつくかもしれません。

本書はアメリカ人はそもそも思い込みが激しいというか、幻想を抱きやすく、確信を持った信念に反する不都合な事実は無視し、Post Truthとよばれる現在の下地は建国の歴史からして既にあったという事を論じています。

きっと恐らくそうなんだろうなと思うのですが、アメリカの歴史を全て誇大妄想的な国民性と結び付けて語りすぎてるのかなとも思いました。

あと、前半のエピソードは割と丁寧なのですが、1960年代になるとたくさんの事例が出てきてあまり深い考察はなく、著者個人の経験や感想も入ってくるので前半のほうが面白かった印象です。

イナズマイレブンを構造的に理解する

第1話 世界への門

第1話 世界への門

  • メディア: Prime Video

うちの子供達はイナズマイレブンが好きなわけですが、アラフォーのおじさんとしてはどうしても我らがキャプテン翼と比較してしまうわけです。

キャプテン翼にしても橘兄弟のスカイラブハリケーンは現実では実現出来ないし、若島津君の三角跳びを試そうとして、ゴールポストを蹴って跳ぼうとして失敗したとかいい思い出な訳ですが、イナズマイレブンはそういう校庭でチャレンジしてみようとかいうレベルを遥かに超え、100メートルくらいジャンプしたり、地面が裂けたり、要するにシュートは必殺技なんですよね。レベル5さんの作品ですから、ゲームの必殺技という事なんだと思います。

と言う事でイナズマイレブンの試合は自ずと必殺技の応酬になる訳ですが、フォーメーションとかあったもんじゃないですから、非常に大味というか、子供達がアニメ見てるのをちらっと見ると大体灰崎がオーバーヘッドペンギンを決めてるか止められてるシーンだったりするんですよね。

そう考えるとキャプテン翼はまだ試合のバリエーションがあって、今更ながらに高橋陽一さんをリスペクトする訳です。

そんなイマズマイレブンが頼ってるのは試合以外のサイドストーリーだと言えます。今放映しているオリオンの刻印だと、一星が日本代表なのにチームをわざと負けさせようとするわけですが、なぜそんな事をするのか謎な訳です。そういうサッカーの本筋以外の所でアニメを盛り上げようとしているのがアニメのイナズマイレブンの構造です。

これって何かに似ていると思うのですが、プロレスですよね。WWEとかリングの試合よりも駐車場の口論とかのほうが盛り上がるとかあるみたいですけど、ライバルとか因縁の試合とか、試合前後のストーリーがしっかりあるわけで、アングルというのですが、イナズマイレブンはプロレスを参考にしてるんじゃないかと思うんです。

ちなみにチームを邪魔する一星は、重病の弟を救わなければならなかっというベタな展開で、子供向けなのでいいのかもしれませんが、ちょっとなあと思った次第です。

PDCAのAって、アクションなのに改善という但し書きがついていて、一体何なのだろうか?

社会人にとって「PDCAをまわす」というのは正面から否定できないというか、当たり前すぎる前提みたいなところがあります。

でもこのPDCAですが、よく考えるとわからなくなるんですよね。以下はWikipediaからのコピーなんですが、PDCAの説明は以下の通りです。

「Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する」

Planはもちろん分かります、計画はとても大事です。Doも分かります。計画を立てても実行しないと意味がありません。Checkもわかります。実行した内容の確認は必要です。

この後が問題なのですが、Actionって辞書的には行動ですよね。PDCAをネットをざっとしらべる限り、Aは改善って訳語が当てられてるんですよね。改善ってImprovementじゃないですか。素直に考えるとPDCIサイクルではないかと思うのです。

さらに混乱するのがActionとPlanの関係です。Actionが百歩譲って改善だとして、改善の為の計画は必要ですから、PDCサイクルで十分な気がするんですよね。Aがなくても成り立つと思うんです。

そういうもので特に深い意味はないんじゃないのと言う方もいらっしゃると思いますが、ここで諦めずにもう少し頑張りたいと思います。

このPDCAは一体誰が言い出したかと言うと、どうもデミング博士と縁が深いようなのですが、日科技連の幹部が言い出したとか、出所が実は定かではないようで何やらミステリアスです。

ですが、デミング博士がPDCAに近い所にいるという事は、第二次世界大戦後にマッカーサーが日本を占領するために連れてきた品質管理の専門家達にヒントがあるはずです。

品質管理のデミング博士は大変有名ですが、同じ時期にTWI(Training Within Industry)という手法の職能訓練の専門家も日本に来ていました。

このTWIという手法ですが、第二次世界大戦中に米国で開発されたもので、戦時需要の中で造船所で軍艦とかを作る工員を募集して、急速に1人前にしなければならないという切迫した理由から産み出されたものです。いくつかのメソッドから成り立っているのですが、その中でJI(Job Instruction)と呼ばれるものがあります。

ちょっと長いですが以下が教え方の四段階のプロセスです。


第一段階 習う準備をさせる

・気楽にさせる
・何の作業をやるかを話す
・その作業について何を知っているかを確かめる
・作業を覚えさせたい気持ちにさせる
・正しい位置につかせる


第二段階 作業を説明する

・主なステップを一つずつ言って聞かせ、やって見せ、かいて見せる
・もう一度やりながら、急所を強調する
・はっきり、ぬかりなく、根気よく
・しかし一度に覚えられる能力以上に強いない


第三段階 やらせてみる

・やらせてみて、間違いを直す
・もう一度やらせながら、一つずつ主なステップを言わせる
・もう一度やらせながら、一つ一つ急所を言わせる
・よくわかったかたしかめる
・相手が分かったと自分が分かるまで繰り返す


第四段階 教えたあとを見る

・仕事につかせる
・わからぬ時に聞く人を決めておく
・たびたび調べる
・質問するようにしむける
・だんだん指導を減らしてゆく

相手が覚えなかったのは、自分が教えなかったのだ


という内容です。なんだか日本人にフィットしそうな内容ですが、個人主義の国だと思っていた米国が生み出したと思うとやや驚きです。

戦争は発明の父と言いますが、この手法が産み出された当時はナチス・ドイツがフランスを占領し、大戦が避けられない時代だった訳で、今とは比べ物にならないくらい切迫した状況だったのだと思います。

そして前述の通りに日本にTWIが輸入され、人材育成のメソッドとして一般企業にも急速に広まる訳です。

さて、PDCAの話でした。上の四段階を教える側の視点でアルファベットで表すとどうなるでしょうか?

第一段階は習う準備をさせる、Planです。第二段階は指導者側としてはやってみせるわけですからDoです。第三段階は、相手にやらせてみるわけですからCheckです。第四段階は教えたあとをみる各種の行動ですからActionです。これがどうも当初のPDCAだったようなのです。どこかのウェブサイトで見ましたが、残念ながら失念しました。

僕はこの説はかなり信憑性が高いのではないかと思っています。PDCAとは、仕事の教え方のプロセスをアルファベットにしたものが、いつの間にか仕事の取り組み方そのものにスライドしてしまったのではないかと思うのです。

そして、高度成長期に入り、そこそこの品質のものが作れれば売れるような時代が到来し、TWIが徐々に実施されなくなっていったのではないかと思います。

なぜならTWIは工場の生産現場のような、反復作業で技能向上するような内容には向いていますが、再現性があまりないホワイトカラーや営業の仕事にはあまり馴染みません。そして人材育成は長期的には会社の盛衰を決めますが短期的には影響は少なく、TWIも内容的には基本的というか地味に感じてしまうところもあります。(トヨタは上記の教え方の4段階をポケットカードにして今でも実施しているようなのですが、トヨタの凄さはまた別の機会に記事を書きたいと思います)

そんな中でPDCAだけはその語呂の良さから生き延びたのではないかと予想しています。そしてActionが行動ではよくわからなくなり、苦肉の策で改善ということばを当てたのではないでしょうか。

僕が引っかかっていたActionは人材育成における最終工程だったのかと思うとPDCAの奥深さが少し分かったような気もします。


あとこのエントリーを書くために参考にした本です。それぞれ大変面白いので書評も書いてみたいと思っています。