【書評】大阪的 「おもろいおばはん」はこうしてつくられた
僕は以前大阪で働いていたんですが、この本で出てくる大阪のおばはん(よりはもうちょっとだけ若い)お局様がいらっしゃったのですが、朝たまにこの様なフリがあったら恐怖したものです。
お局様『なあこのバッグ昨日買うてんけど、なんぼに見える?』
僕『え、けっこう良さそうですけど、、ご、5000円くらいですか?(汗)』
お局様『ちゃうねん、500円やってん!(ドヤ)』
僕『え、全然見えませんよ、すごいですね!(汗)』
お局様『せやろ〜!(ドヤ)』
みたいなやり取りがたまにあって、多分ここで10000円と言っても外し過ぎで、1000円だと安すぎなので、5000円は及第点だったんだと思います。大阪で生きていく為には「これなんぼに見える?」のフリは最大限に活かさないといけないという暗黙のプレッシャーがあります。
確かこのお局様は堺出身の方だったのですが、本書で描かれている様な典型的な大阪のおばはんの性格そのものでした。
この方には結構鍛えられたので、今では僕も関西の方に対して「へー、芦屋出身なんですか、海側ですか?」とかさらっと余計な一言を言えるようになって感謝しているのですがそれはまた別の機会に譲るとして、僕の嫁は北摂出身なのですが、また微妙なメンタリティの違いがあって、南のほうとはちょっと一緒にしてくれるな的な所があったりします。
本書では大阪のおばはん像は誇張されすぎていると主張される訳ですが、やや阪神間と言いますか、北摂側贔屓な気がしなくもありません。
また本書のサブタイトルが「おもろいおばはんはこうしてつくられた」なんですが、全九章あるうちの第一章の半分くらいしかおもろいおばはんに触れられていないので、これは幻冬舎さんのマーケティングセンスの賜物ですが、読み終わったあとはちょっとどうなの?という気持ちにならないでもありません。
また、エッセーぽいなと思って読んでいたところ、ほんとうに産経新聞のエッセーをまとめた本で、歴史の話も多く、読後感としては大阪の話に限定した司馬遼太郎さんのこの国のかたちみたいな感じでした。
でも個人的には、元阪神のバースは本来の発音からするとバスだが、デイリースポーツあたりにバス急停車とかおちょくられるのがいやでバースにしたらしいとか(ある意味どうでもいい、すみません褒め言葉です)トリビアを知ることが出来てよかったです。さくっと読めるので息抜きにどうぞという本ですね。
大阪的 「おもろいおばはん」は、こうしてつくられた (幻冬舎新書)
- 作者: 井上章一
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2018/11/30
- メディア: 新書
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