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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

ベンチャーのやりがい搾取のしくみを一般企業に導入できるのか?

弊社では社員のモチベーションが低いとか、若手はすぐ会社を辞めるからなんとかしないといけないとか、そういう話が最近よく出てくる中でちょっとしたアイデアを思いつきました。

「やりがい搾取」という言葉が最近だいぶ市民権を得てきたと思うのですが、この「やりがい搾取」は主にベンチャー企業とか最近だと有料サロンとかで横行している手法だと思っています。

僕は10年ほど前にベンチャー企業に勤めていた事があり、社員数はたしか当時200名くらいだったと思うのですが、元リ○ルートの社員が作ったイケイケの会社で、僕はそこで内勤営業のような仕事をしていました。

当時新婚でしたが、嫁さんと夕飯を一緒に食べた記憶はなく、今思い返すといい経験でしたが、ブラック企業だったと思います。

そんな訳で僕が当時感じていたやりがい搾取の構造とか雰囲気について考えたいと思います。

1、社長がカリスマ
話がバツグンに上手く、社員のモチベーションアップというか、煽りが秀逸でした。「なんの為にベンチャー企業に入ったのか、成長したいからだろう。人の3倍働いて圧倒的成果を上げないでどうする?」みたいな事を仰るのでなんとなく納得しかける訳ですが、毎日終電かタクシーみたいな生活をしててこれ以上がんばれない訳です。でもなんか話を聞いているとそうかもしれないと思わせる説得力があったのは事実です。また、クリスマスイブに残業している時はハーゲンダッツを大量に買ってきて配るというようなアメとムチの使い方が完璧で、多分宗教の教祖にもなれるのではないかと思いました。

2、カリスマ社長を支える幹部たち
社長に負けず劣らず幹部たちも濃いメンバーでした。ツーブロックゴリラマッチョ系から、なんかやたら切れモノ、何してるかよくわからないけどなんかめっちゃ美人まで、とにかく濃い方々が揃ってました。ただ古参のメンバーがちらほら辞めて行き、リ○ルートからの転職組がやって来ることが多くなっていた時期でもあったようで、立ち上げ期に必要とされていた人材と会社の規模が多くなってからの人材は異なるのかなと末端社員として思ったことがあります。

3、何故か多い美人社員
僕がいた会社もそうですが、ベンチャーに美人社員が多いのは何でなんでしょうね。顔採用をしてると言われたらそれまでですけど、金曜の夜中の二時とかに「これちょっと見てほしいんですけど、、、」とか相談されたりして、今冷静に思うとシュールな感じでしたね。

ただ、美人が多いのでテンションが高く保たれてたかどうかは微妙なところで、ベンチャー企業に来る女性は気が強い方が多い気がするし、僕自身疲れ果てて女性どころではなかったですね。

一方男性は僕を含めてイケメン揃いという言う訳ではなかった気がします。

4、なんか漂うキラキラ感
会社のイメージ戦略が成功してたんでしょうけど、キラキラ感が漂っていて、意識高い系ホイホイみたいな所はありましたね。上記の美人社員が採用インタビューとかで顔写真多めで出ていたり、会社のエントランスにデザイナーズチェアーとかを置いて高級感を醸し出してたと思います。

5、目標達成の見える化
オフィスの壁中に「○○さん、△△達成おめでとう!」という貼り紙が溢れてました。素直に目標達成おめでとうと言うのはいい事なんですけど、一方ローパフォーマンス社員にとってもこれはめちゃくちゃプレッシャーになる訳です。こういう所に全然出てこないのは本当にしんどくて、辞めていった人もいると思います。

6、MVP制度
月間MVP、年間MVPとかあったような記憶があります。最初は年間しかなかったのですが、月間MVP制度が出来て、それは5位くらいまで発表されるんですけど、これも全然名前が出ないとプレッシャーになって来て、なんとなくいたたまれない空気が出来上がるんですよね。出来る人のモチベーションを高めつつ、ローパフォーマー本人に徐々に退職の二文字をちらつかせる優れた制度だと思います。

7、派手な総会
リ○ルートみたいに芸能人を呼ぶとかはなかったのですが、社員の有志が本格的なダンスを披露するとか、かなり凝ったドラマを撮っていてそれを上映するとか、あんなに忙しいのにいつやったの?みたいな内容が多くて、いつもあっけに取られながら見ていました。

8、その他のイベントも派手
忘年会が六本木のクラブを貸し切ってのイベントだったり、誕生日のサプライズがやたら凝っていたりと何かと派手でした。残業ばっかりなのにサプライズでまた時間を使うとか正直理解できなかったのですが、地味キャラの僕はついぞ馴染めなかったです。

9、社内がいろいろ派手
社内にマッサージチェアがあったり、バーカウンターがあったり、バランスボールに座って仕事してる社員がいたり、まあとにかく派手でした。

10、激詰め文化
出来ないと詰めるという文化がありましたね。とにかくめちゃくちゃ言われて泣かせて自己否定させるくらいの感じでした。僕も最初の頃は仕事ができなかったので、かなりやられた記憶があり、トラウマです。今でもやっているのでしょうか。

11、多くのサークル
フットサルサークルとか、テニスサークルとか、休日に活動するサークルも多かったですね。平日に物凄い時間会社にいて、さらに休日もというのは嫌だったので僕は行っていませんでしたが、活発に活動していたみたいです。

12、凝った社内報
社内報が毎回凝ってましたね。レイアウトから記事の内容まで普通にクオリティが高くてかなり面白かったです。本当に残業ばかりの会社で、どうしてここまで出来るんだろうと不思議に思ってました。

13、退職の時もなんだか熱いブラック企業
この会社は2年半ほどで退職したんですが、退職日に色紙を貰いました。ふつう色紙って1枚だと思うんですが、写真とか貼り付けてくれたり、メッセージをたくさん書いてくれて、合計4枚ほどあったのが嬉しかったです。

あと、最終日なのにトラブルにまきこまれて、退社が夜中の2時とかになったんですが、真夜中の2時にお花を頂いてそこから仲良かった人と飲みに行ったのですが、やはりとんでもないブラック企業ですね。

14、毎日が文化祭的
そんなこんなで毎日が文化祭みたいな感じなんですよ。好きな人はほんとに会社の雰囲気が好きなので激務にも耐えきれるんですよね。逆にこの雰囲気に馴染めないと辛い以外の何者でもありません。

以上、こんな感じの会社でしたがここまで書いてきて気が付きました。こういう会社で給料はそんなに高くないし、毎日終電かタクシーなのに謎のモチベーションの高さで働いてると漠然と思っていたのですが、単純に会社を好きなんですよねきっと。イケてる会社、イケてる仲間、イケてるオレみたいな感じなのではないかなと思います。

なので、今の会社に必要とされる事は会社を好きになってもらう事かもしれません。好きになってもらうには、会社側からもあなた達の事が好きですというのを伝える事から始めるべきだと思います。

伝え方は会社それぞれなので、何もベンチャーみたいに派手にやる必要はありません。僕もそうですが、派手なのには馴染めない人もおそらく多くいます。

社員をどうやって会社のファンになってもらえるのか、雰囲気、制度、仕事の進め方、インナーブランディングと言ってしまえばそれまでですが、社員が会社のどこに魅力を感じているのか、またはどこが良くないと思っているのかを確認する所から始めるといいかもしれません。