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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

大企業で仕事が使えない中年社員が大量生産される仕組み

さぷさんです。在宅勤務中に一切電話がかかって来ず、自分自身が不要不急の人材ではないかという恐怖感が毎日あります。

さて、本日仲のいい若手・中堅の社員とグループチャットをしていたのですが、彼らと会話する中で使えない中年社員はこのような仕組みで生産されていくとかと得心した事があったのでその事について書いてみたいと思います。(彼ら自身は優秀なので、会話の中での気付きということになります)

日本の大企業の社内選抜は明文化はされてないものの、比較的明確なものがあります。

入社してすぐに目立つ若手社員というのはいる訳でありまして、全体の2割くらいでしょうか。この優秀な若手社員達は先頭集団として早めにローテーションがかかります。

そして、2〜3年で部署を転々とし、海外出向も経験しながら、出世の階段を駆け上がって行く訳です。

要するに会社が成長の場を次々と与えていると言えます。

一方で残りの8割の社員はというと、社内におけるエッセンシャルワーカーとしての業務に従事することが基本になって来るわけです。

経理だったら伝票のチェックは必要ですし、人事だったら給与計算や福利厚生が大切です。営業だとアフターサポートやコールセンターも大切な業務です。また、生産現場で部品を運んだりネジを締める人がいるから会社は成り立っている訳です。

身も蓋もない話ですが、日本企業においてもこのように20代前半から幹部候補生はだいたい決まっていて、若干の入れ替わりはあるものの、覚えめでたい社員はチャレンジの場が次々と用意され、その他大勢はエッセンシャルワーカーとしての日々の業務に従事する訳です。

そして日本の人事部が凄かったのは、この残り8割は幹部候補生ではないと気付かせず、希望をもたせながら50歳位まではなんとかそれなりの異動経歴を持たせるという職人芸にあります。

ただ、これはあのトヨタが終身雇用はあり得ないと宣言し、ついに崩壊したと思っており、ジョブ型雇用をどのように導入するのか具体的な議論のフェーズに入ってきたような気がします。

そしてまた問題なのが、この残り8割の社員も入社試験をパスする程には優秀で、たまたま目立ってなかっただけかもしれず、若手・中堅くらいまでは成長意欲がかなりあります。

しかし、エッセンシャルワーク部門の上司が保守的で前例踏襲主義だったりすると、若手・中堅社員のチャレンジを認めなかったりして、成長意欲を潰します。

そうやって、学習的無力感と言いますが、やる気を出してもどうせだめなんだというマインドセットが出来てしまうともう駄目で、ルーチンをこなす事は出来るけどチャレンジ出来ない使えない中年社員が大量生産されるのです。

これはある意味エリート社員を作るための副生成物と言えますが、入社時は難関を突破した社員です。2割のエリート社員の為に8割を犠牲にしていると言えるのではないかと思います。

ですので弊社でも最近は若手・中堅が以前と比べてかなり退職していきますが、僕も同じ立場なら退職していたかもしれません。

今日若手・中堅とグループチャットしていて、彼らが言っていたのは「主体的なキャリア形成が出来ない」「上を見ていると絶望的な気持ちになる」という事でした。客観的に見て退職予備軍です。

エッセンシャルワークは誰がやらねばなりません。それとチャレンジ、成長感を持つということをこの8割の社員に持たせるという難易度の高い連立方程式を解かないと会社の未来はないと思った1日でした。

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