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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

研修会社の人と話していて必ず最後に行き着く結論

さぷさんです。新型コロナウイルスで集合研修が開催できないために弊社ではe-Learningがやたら増えているのですが、音声がないe-Learningは光速でスライドをめくり、音声付きの動画は2倍速で聞き、受講後のテストは簡単なのでなんとかなるという事になっているようで(と言いますか僕自身がそうしてるんですけど)、時間と金をかけて弊社社員は一体何をやっているのだろうかと思っております。反省しております。

さて、仕事柄研修会社の人と話をする機会はそれなりに多くあるのですが、いろいろなお会社さんの営業の方や講師の方と話していて必ず行きつく結論があるのでその事について書いてみます。

研修による人材育成で難しいのは、有効な効果測定手法が未だ出現していない事からも分かるように、効果があったのかなかったのか分からないということです。

効果測定としては、カークパトリックの4段階評価が有名ですが、ある研修会社の人と話したところ、カークパトリックご本人が「あれはちょっとなー」と仰っていたそうで、真偽は不明ですがその人の言葉を信じるのであれば、今の所のほぼ唯一の拠り所もあまり頼りがありません。

そして研修終了後に必ずと言っていい程アンケートを取りますが、あれも信用なりません。

アンケートの質問項目を工夫してみたり、5段階評価にしたり10段階評価にしてみたりしましたが、結局アンケートで分かるのは、極端な事を言いますと講師と講義内容に対する満足度のみです。

点数についてもどのような相関があるのか、以前かなり詳細に分析した事がありますが、基本的には講師の講義内容や話の上手さがベースとしてあって、研修内で演習や受講者同士のディスカッションが多いとアンケートの点数は高くなります。

ですので、アンケートの点数は講義が魅力的ではない講師を外す事には有効ですが、それ以上のものではないと個人的には割り切っています。

このように研修の受講後アンケートは講師の人気投票の側面があるため、それをよく分かっている社外の講師は(商売柄当然ではありますが)受講者迎合になりがちです。

個人的には、受講者が嫌がる内容で、仮に10点満点中1点がついたとしてもやるべきかもしれない研修はあるかもしれないと思っています。

そういう訳でして、研修会社さんと研修の総括する話になるとだいたいもやもやした話になりがちです。

また、研修で何かを掴んでくれる人と言うのはだいたい研修をしなくても優秀な人であって、逆にいろいろ問題がありそうな人に限って何も得てくれないのではないかという悩ましさがあります。

能力が低い人やコミュニケーションに難がある人は、現実を受け入れてしまうとおそらく精神を保つことが難しくなりますから、現実の認知を歪めて理解する方がその人にとっては合理的です。つまり、自分は正しくて周りは正当に評価してくれないというような姿勢です。

このようなタイプは年齢を重ねる程に、自己防衛の為により頑なな態度を取るようになりますから大変に厄介です。

そして、研修会社の人との最終結論は、「今までの生き方トータルとしての人間力ですよねえ」という所でだいたい決着します。

ちなみに今更の補足で恐縮ですが、具体的な技能を高める研修(プログラミングや英会話)にはこの議論は当てはまりません。リーダーシップやコミュニケーションといった抽象的なスキルの向上についての課題ということになります。

そして、「人間力」と言うのは、その人の具体的な技能、非認知能力、親から受け継いだ有形無形の資産、過去の機会と経験、周囲との人間関係、それによって培われてきた思想信条などを全て統合した「ハイパー能力主義」に他なりません。

そして、過去の栄光は未来の可能性ではありませんから、常にフレキシビリティーと学習意欲を発揮することが、仮に今は順調であったとしても、未来への生き残りの条件となります。

つまり、自宅の本棚にそもそも司馬遼太郎吉村昭半藤一利の本があるのかどうかという所から始まっていたりするのだと思っています。

身も蓋もないですが、能力は平等ではないですし、機会も平等ではありません。よい環境が整備されてないと感じた場合は、自己の現状の冷静な把握、適切なキャッチアップ方法の検討と実行、そしてよいメンターに出会うことが出来れば成長は可能だと思います。