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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

「ウマ娘」と「豆腐」から生産性向上とは何かを考える

さぷさんです。最近のヘビロテはうまぴょい伝説なのですが、僕の子供たちへの遺言は「ソシャゲには手を出すな」と「マンションを買うなら駅チカにしろ」の予定でしたが、前者は僕自身が守れませんでした。少なくともメジロマックイーン様でURAファイナルズを制覇するまでは。

さて、そういう訳でして今僕は充実したウマ娘ライフを送っておりますのでブログを更新する暇がなくて大変困っているのですが、「ウマ娘」と唐突で恐縮ですが「豆腐」から生産性向上の本質に迫ってみたいと思います。

ウマ娘について〉
メジロマックイーン様の育成がかなり厳しいような気がしており、そろそろ本気で課金を検討せねばならない。。という僕の今の一番の困り事はとりあえず脇に置いておきまして、ソシャゲにあるまじきクオリティ高さのウマ娘についてまず語らねばなりません。

パブリッシャーはご存知Cygames様で、渋谷区方向に足を向けて寝れないわけですが、直近の流動資産が800億円もあるんですよね。

任天堂などもそうですが、当たり外れの大きいゲーム業界は手元資金を厚めにするのがセオリーと言われていますが、相当な積み方です。

また、2020年9月期の決算はホームページを見ますと以下のとおりです。(9月決算なんですね)

Cygamesの2020年9月期の決算は、売上高1104億0600万円(前の期比1.6%増)、営業利益248億8800万円、経常利益243億1400万円(同24.5%増)、最終利益161億3300万円(同43.6%増)となり、売上高、経常利益、最終利益は過去最高を更新した。

まさかこんなに業績が良い会社だとは知りませんでした。弊社の営業利益率の何倍なのでしょうか。Cygames恐るべしです。

当初ウマ娘は2018冬にリリース予定だったそうで、口の悪い人はソシャゲ界のサグラダ・ファミリア教会と言っていたようですが、リリースされるや否やセルラン1位のぶっちぎりツインターボ様状態な訳でして、時間とお金と人を相当投入しましたよね、という事かと思います。

売上と財務状況が盤石ですので、MBAの教科書に出てくるキャッシュカウで稼ぎつつ、新規投資を積極的に行うというビジネスを地で行っている感じが致します。

開発初期の画面をネットで見ると完全に別物ですから、かなり根本的に作り直したと思うんですが、財務余力があるからこそ、大胆に経営判断としてプランBの実行が出来るのだと思います。

これでメジロマックイーン様の育成がもうちょっと難易度低めでしたら言う事無しなのですが、嘘か真かトップ課金者は2700万円という噂もあり、そういう都市伝説みたいな話がもうでてくる所がウマ娘の成功を物語っていると思います。


〈お豆腐について〉
さて、ここで突然お豆腐の話になるんですが、最後にちゃんとまとめるつもりなのでもう少しお付き合い下さい。

全豆連さんのホームページを拝見しますと、豆腐の市場規模は5〜6000億円だそうです。

仮に豆腐の市場規模を6000億円だとして、お豆腐は超成熟産業ですから、これ以上の市場の拡大は望みが薄いと思います。

思考実験として、豆腐メーカーや豆腐関連事業の会社を全部買い占めても6000億円を上回る売上を上げることは難しいということになります。(話を単純にするために事業の独占による値上げはしない事とします)

そうしますと、経営者として固定費の削減くらいしか出来ませんので、小規模拠点の統廃合によるスケールメリットしか求められないと思います。

当たり前ですが、市場規模を超える売上は上げられない訳ですから、自分勤めている会社がどのような市場に位置しているのかを冷静に把握することが重要だと思います。(その上で技術革新などで市場そのものを作り出したり、市場規模を拡大させるのがベストですが、これ以上お豆腐でイノベーションを起こすのはなかなか難しいと思います)

〈DXをがんばれば生産性が上がる的な、、〉
なんと言いますか、日経新聞を読んでいるとDXが生産性向上の鍵みたいな書かれ方をしていて、弊社でもDXブームみたいになっていますが、例えば営業日報が活用されていないみたいな話になって、データを確認してみたところ、失注の理由が「昨今のコロナ禍で通常の営業活動が出来ず、訪問ができていなかった所、他社が受注してしまいました。大変申し訳ございません」みたいな作文を目にしてしまう訳ですが、別に謝らなくてよいのでこっちは定量的なデータがほしいのでプルダウンにしてほしいんですが、現場サイドは作文による誠意が大切だと思っていて、「訪問不足による失注」というプルダウン項目化はまかりならんみたいな感じになってしまう訳です。

これは極端な例ですが、DXはあくまで手段の一つである訳ですから、そもそも頭打の市場で闘っていたり、自社の商品に競争力がなかったら話になりませんから、そういうもっと大きな前提があっての手段としてのDXであるべきだと思います。

やはり日本は未だに八百万の神のいる国で、その神様の一人であられるDX神に祈っておけばなんとかなるという、古典的アニミズムから抜け出せていないのが、2021年での我らがジャパンの状態だと思います。戦艦大和しかり、神風しかり、なんか象徴的なモノを祀っておけばなんとかなるという、このメンタリティは少なくとも数千年かけて形成されていますから、日本人の宿痾として治そうとして治せるものではないと思います。

〈それでもって生産性って結局何?〉
ようやく結論ですが、もう少しで終わりますのでブラウザバックしないで下さい(懇願)

生産性の定義をいろいろ調べましたが、日本生産性本部のホームページにあった「経営資源のインプットに対するアウトプット」という定義が一番シンプルでよかったです。(もっと複雑な事ももちろん書いてあります)

つまり、生産性とはヒトモノカネを投入したリターンとしての利益というしごく分かりやすいものだということが分かりました。

ということは、ヒトモノカネをおそらく大量に注ぎ込んでリリースが2年遅れたものの大成功中のウマ娘は生産性が高く、お豆腐については劇的な生産性向上というのはそもそもなかなか難しいのではないかというのが僕の結論です。

そして、生産性向上のカギがDXだというのも誤解を恐れずに言うと多分間違いで、経営者が日経新聞を斜め読みして、担当者を呼んで「ちょっとDX検討して」と言ってもおそらく担当者が能力とヒトモノカネと権限があれば既に出来ているでしょうから、「同じことを続けているのに違う結果を求めるのは狂気だ」とアインシュタインが言ったとか言わないとか言われていますが、経営資源を投入しない事には変化など出来ないし、現場の現有戦力のみのガンバリズムにすがっているような会社では生産性の向上は見込めないと言うことなのだと思います。