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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

【書評】1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法

さぷさんです。元左利きです。と言いますのも小学校入学直前に右手に矯正されたのですが、母親曰く祖母から右に矯正にするようにと言われたそうでして、当の母親からはご飯を食べたりするときに隣の人と肘が当たると良くないと言われたような記憶があります。

ちょうど右に矯正していた頃に確か吃音が出ていた記憶があるのですが、いま思うと矯正のストレスだったのかもしれません。よくがんばりましたと小さいときの自分に伝えてあげたい気持ちでいっぱいです。

そんな訳で僕の日常生活はほぼ右利きなのですが、歯を磨く時は矯正を受けなかった左だったり、駅の改札でPASMOをかざす時もついパスケース入れを左で持ってしまうときがあり、腕をクロスさせながら改札を通ることになったりします。

また、右と左が咄嗟にはわからなくなるという弱点がありまして、教習所で教官に右折と左折の指示が瞬時には分からずに難儀したことがあります。

「右と左が分からないとかw」と嫁から馬鹿にされていたのですが、どうもこれは左利きに稀にある現象らしく、僕は元々基準が左である中で、最初に想起する手が右利きとは逆なので「左でないので右」というワンクッション必要な面倒くさい頭の構造になっているというのがその理由のようです。

そんな訳でほぼ右利きの僕ですら上記のようなちょっとした生きにくさを感じている中でガチの左ぎきの方はかなり難儀されているのではないでしょうか。

また、レオナルド・ダ・ヴィンチミケランジェロピカソニュートンアインシュタインは左利きだったことから、左利きには天才が多いという説がありますが、残念ながら僕には全く当てはまらなかったようです。ちなみに親族で左利きだったのは僕だけなので遺伝ではないと思いますが、生まれたときからちょっと拗れていたかもしれません。

そんな中で「1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法」の本の宣伝を見まして、最近中年の悲哀を感じる中で少しは元気が出るかしらと購入してみました。

著者である佐藤俊徳先生は中学で柔道の黒帯を取ったり、陸上の砲丸投げで優勝したり、医師になろうと志して医師になり、MRIのエフニルス法という手法を考案され、Wikipediaに掲載されている先生の著作を数えたところ60冊以上あったのですが、まあなんといいますか、たぶんに遺伝ガチャの勝者の方だと思います。

そんな佐藤先生も左利きでご苦労されたようなのですが、先生が開発されたりエフニルス法は脳のどこが活性化しているのかを計測する手法ですので、左脳が言語処理をしており、右脳が画像や空間の認識を担当しているという今となっては広く知られている事実は、佐藤先生のエフニルス法のおかげということになります。

本書の中に、「脳科学的に見て、左利きは多数派と異なる個性を持つ「すごい」人たちです」とあるのですが、おそらく佐藤先生は右利きであってもすごい人だったのではないかと思います。

例えば右ハンドル車と左ハンドル車があったとして、左ハンドル車は日本においては希少ですが、エンジンやサスペンション、ブレーキなどの性能が悪ければ走行性能としては大した自動車ではない訳です。ポンコツだけど左ハンドル車とかよっぽどのモノ好きでないと買わないと思いますが、書いていて辛くなってきました。

身も蓋もない話を続けますが、仮に左利きが画像や空間認識に優れていたとしても、それは自分の中で右脳優位と言うことであって、マイケル・サンデル先生が批判されているところのメリトクラシーの世の中では高性能の右利きパーソンには勝てないと思います。

左利きは10人に1人らしいのでオンリーワンといえばオンリーワンですが、車屋の店先に並んだとして、買ってもらえないとあまり意味がありません。

本書の中で、左利きの人は直感に優れているのでそれを磨くと良いという事が書かれているのですが、「直感を言語化するためにたくさん本を読んだほうがいい」でしたり、「コーヒーを入れたら、お気に入りのカップに淹れて香りを楽しむといった」、左利きの人というか万人に当てはまるようなアドバイスがあると思えば、「アニメキャラを思い出す」といったどう先生の直感が働いたのかもう少し言語化してほしいようなアドバイスもあります。

また、いつでもメモを持ち歩く、ルーチンを変えてみる、憧れの人だったらどうするかを考えるなどのアドバイスも次々と出てくるのですが、やはり右利きの方にも有効なアドバイスが多い中で、本を逆から読むなどのオリジナリティのあるアドバイスもありました。

個人的にはアニメキャラを思い出しながら本を逆に読んでみたいと思います。

最近の自己啓発本の特徴として、ADHDや繊細さんなどの生きにくさを抱える人を励ましつつ、メリトクラシーの世の中で成功するためのノウハウを伝えるというのが流行りな気がしますが、本書もその系譜に繋がる本なのかなと思いました。

脳科学の複雑な話は一切出てこず、一時間位でさらっと読め(次の日には忘れ)る感じの本だと思います。

左利きで自己啓発ポルノを読みたいという気分の場合はいいんじゃないかと思いますが、Kindleで1158円出すんだったらちょっといいランチを食べるんだったと思わなくもないです。