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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

【考察】マルチタスクは本当に可能なのか考える

残業時間抑制の対策のひとつとして職場で「マルチタスク」について何人かと話をしたのですが、なんだか各人の「私の仕事論」みたいな感じなって全然噛み合わなかったのでちょっと考えてみたいと思います。

いきなり仕事の話をするとややこしいので、まず「マルチタスク」を「同時に2つ以上の異なった作業を並行して行う」と仮に定義してみたいと思います。

例えば、『縄跳びをしながら九九を唱和する』これも立派な「マルチタスク」だと思います。仕事じゃないけど。

イメージ的にはなんとか出来そうな気がしますが、縄跳びの条件を二重飛びにした瞬間に出来なくなってしまいそうです。

これを仕事に置き換えると、『電話対応中にエクセルで資料を作成する』みたいな状況が想起されますが、よっぽどクレームか何かの電話を受けていて、切るに切れずに相槌だけ打っているとか特殊な状況でないとできない気がしますね。

ということは最初の定義は仕事においては多分間違いというか現実的でなく、次の定義を考えてみる事にします。「複数の異なった作業を短時間で区切り、高速で切り替えることにより、同時並行で進めているように見せる」というのはどうかなと思います。

でもこれって、大型コンピューターで言うところのタイムシェアリング(タイムスライシングだったかも)ですよね。

マルチタスク」ではなく、「シングルタスクの高速切り替え」という訳ですが、ここでも仕事の話から始めるとややこしくなるので、料理に例えると『朝お味噌汁を作りながら、お魚も焼き、洗い物も同時にする』みたいな状況を思い浮かべるわけですが、これはまさしく「シングルタスクの高速切り替え」と言えそうです。

料理の手際のいい人とそうでない人の違いは、「段取り力」です。上の例でいくと、先にお魚を焼き始め、焼いている間でお味噌汁作りに取り掛かり、お味噌汁を温めている間に洗い物をするみたいに、各タスクにおいて放置出来る時間を利用しながらのタスクの高速切り替えが肝だと思います。

ここで大事なのは各タスクの時間を正確に見積もることが出来、また想定外の別タスク(かかってきた電話に出るとか)をしないことです。

これを仕事に当てはめようとすると相当にハードルが高いんじゃないかなと思います。例えば「上司に資料作成を依頼されてて、お得意先から見積書の要求があり、また別なお客様から問い合わせが入っている」みたいな状況(現実はもっと複雑で、状況も刻々と変わりますが)の中で、時間の正確な見積もりと、例えば上司に資料を提出したとしても、戻されるかもしれないし、問い合わせに回答したら別の質問が来るかもしれないし、別な緊急性の高いトラブルなどが横入りしてくるのかもしれない訳ですし。

また、コンピューターだとタスクのスイッチは容易ですが、我々は人間です。どうしても思い出したり、気持ちが乗らないといったスイッチングコスト(この用語の使い方は正しくない気がしますが)が発生します。

よって定義の2つ目である「シングルタスクの高速切り替え」をを実行しようとすると、とっちらかしてしまった仕事の山が出来る事が目に見えています。

マルチタスク」に見せかけた「シングルタスクの高速切り替え」は、料理などの特殊な条件下では有効ですが、仕事では有効でないと考えます。

ですので結論として、仕事においては「マルチタスク」はそもそも成り立たず、「シングルタスクの高速切り替え」もあまり有効でないと言うのが僕の結論です。

『仕事を10個かかえていたら、まず1個終わらせる事だ』という格言を思い出しましたが、僕は基本的にはシングルタスクを高速でやり切り、次に取り掛かるという姿勢で仕事をしたいと思います。