【書評】「ティール組織」で働くのは大変だと思う
今話題のティール組織ですが、ネットで書評を見る限り、この組織の持つ恐ろしさがあまり理解されていないように思います。
その恐ろしさとは、自分がティール組織の社員になった場合の恐ろしさです。
ティール組織の特徴についてですが、どうも個人の給与明細から、経営上の重要なデータまで、あらゆる情報がメンバーにオープンになっているようです。また社員には肩書がなく、上司や部下といった階層がないようです。(もちろん個別の役割はあると思います。あと蛇足ですが、これは僕の理解ですし、現在進行形の組織形態なので、詳細すぎる定義づけはあまり意味がないと思っています)
なので、例えばティール組織で働きだしたとして、そこのメンバーと居酒屋で飲んでいたらどういう事になるかというと、以下のようになると思うんですよね。
『やっぱり顧客の生の声が大事から、インタビューとかしたいと思うんですよね〜』
『じゃあ明日のミーティングで提案してみたらどうですか?』
『うーん、確かにそうですね。。』
『じゃあ明日楽しみにしてますね!』
みたいな感じで、従来だと上司が理解してくれないとか、予算がないとかいろいろな理由で言い訳が出来たわけですが、ティール組織では『いいじゃない!やってみたら?』になるわけですよね、おそらく。
でもって、上司も部下もいないような組織ですから、通用するのは情熱と論理、人を巻き込む力、過去の実績など、その人のそのものの素の力が重要だと思うんですね。
これって実力がある人には願ってもない環境ですが、僕を含めて多くの普通の人には結構しんどい環境であるとも言えると思います。
もちろん、その組織を運営している人は普通の人でも活躍できるような仕組みなり、心理的安全性に心を砕くと思うわけですが、肩書を外した時の素の実力がものをいう組織は、働く人をかなり選ぶんじゃないかなと感じた次第です。
オルフェウス室内管弦楽団とか、この前のオリンピックで話題になったカーリング女子とか、おそらくプロフェッショナルが高い次元で高度な物事を成し遂げているようなティール的な組織と、普通の人がその人なりの凄い頑張りで活躍出来るティール組織があると思うのですが、何れにしてもティール組織という現在進行形のパラダイム変化を世に問うたフレデリック・ラルーさんは本当に凄いと思います。
- 作者:フレデリック・ラルー
- 発売日: 2018/01/24
- メディア: 単行本