Search Console

さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

【書評】統計学の図鑑

統計学の知見からうまれた言葉で好きなのは「異常値は標準に回帰する」という格言です。

どういう事かと言いますと、例えばゴルフ大会をTVで見てる時に、初日に自己ベストでトップに立った選手がいたとします。そうすると解説の人が「この調子を継続して欲しいですね」と言うようなコメントをする事があると思います。

特に変な事は言っておらず、その通りかなと思う訳ですが、統計学の知見があると、「自己ベストとは異常値とも言い変えられますから、2日目以降はスコアが落ちるはず」となります。

もちろんTVでそんな事行ったら興醒めなので、仮に知識があっても言わないと思うのですが、後者になる確率は高いわけです。

また、2018年に北陸では50年ぶりに大雪が降ったのですが、翌年は雪が全く降りませんでした。特に被害が大きかった福井県は次の大雪への備えに頭を悩まされていると思うのですが、統計的に見ると次の大雪は50年後ですから、そこまで急いで対応して財政を悪化させなくてもいいような気がします。

しかし大雪という異常値が続かないと言い切れる事も出来ません。人命が関わる問題はとても難しいと思いますが、限りある財源ですから、いずれにしても冷静な議論が必要だと思います。

そんな訳で統計的な知識はとても役に立ち、ビジネス紙でも時折統計学の特集が組まれますが、何故かブームにはならず、あまり盛り上がらない印象があります。そしてブームも言ってみれば異常値ですから、その内沈静化=標準に回帰してしまう訳ですが。

ブームという話で続けますと、母集団の属性が変化して一過性のブームと思われていたものが定着することはもちろんありえます。例えば、スマホも最初は一部の人のブームだった訳ですが、今は持ってるのが普通だったりするので、上記の格言は当てはまりません。

「異常値は標準に回帰する」は、いわゆる正規分布を描く事象に適している格言です。統計学の偉大な発見のひとつはこの正規分布の発見です。

身長や体重、ニワトリの卵の重さ、お財布に入っているお金、工場で作った製品の不良率、これらはおそらく全て正規分布を描きます。

統計学はこの正規分布をどの様に活用するのかという事を発展させてきたという側面がある為に分かりにくくなってるのではないかと個人的には思っています。

特に僕がまだ完全に理解出来ていないのが検定です。

検定は、ある仮説を立てたとして、それが成り立つ可どうか確かめるための統計的手法なのですが、仮説を確認するためには確認する対象が必要な訳です。

つまり、確認対象として否定したい仮説を設定する必要があり、それを「帰無仮説」と呼びます。そして、新たに証明したい仮説を「対立仮説」と呼びます。

その上で検定行うのですが、ここから先は僕もまだ勉強中でうまく説明が出来ません。

そんな訳で統計学に関する本は何冊か買ってみたのですが、この「統計学の図鑑」が1番わかり易いと思います。図鑑だけあって、図が多様されているので、文系の僕でもある程度までは頭に入ってきました。

例えば偏差ですが、これは平均からのバラツキなんですよね。僕は偏差値世代なので、偏差とは何か基準の値なのかなと漠然と思っていたレベルだったんですが、バラツキを表す手法というのがビジュアルで分かったりしました。

ただやはり検定あたりから当然難しくなってきますので、ちゃんと勉強しないと分からないですけど、統計学を勉強したいと思ってる人にはオススメの本です。

統計学の図鑑 (まなびのずかん)

統計学の図鑑 (まなびのずかん)

氷河期世代あらため人生再設計第一世代のトリセツ

僕はもろに人生再設計第一世代ど真ん中のアラフォーサラリーパーソンです。

中学生の時にバブルが崩壊し、高校の時に阪神・淡路大震災オウム真理教事件、大学の時に酒鬼薔薇事件、就職が氷河期と多感な時期に時代の不安な空気を思いっきり吸いながら生きてきました。

特に就職活動が悲惨でした。2001年に就職活動をしていましたが、40社受けて、ようやくシステム会社の内定をもらえました。

僕は俗にいうMARCH出身な訳ですが、ゼミの出世頭がNTTデータの子会社、学部に一人Docomoに内定が出たらしいとの噂が駆け巡るくらいのしょっぱい感じでした。また当時僕はマーケティング関係のあこがれがあり、就職活動中に一緒に頑張っていた人がいたのですが、その人はコピー機のメンテナンスの会社に就職し、お互いマーケのマの字もないようなところに就職しました。でもこれはまだいい方で就職せずにその後音信不通になった友達もいます。

また、会社で働きだして3年目くらいに出張で新幹線に乗ってたとき、車内販売のお姉さんが何処かで見たことあるなとおもったら大学の時の知り合いで、なんとなくショックだったこともあります。

そんな平凡な氷河期世代あらため人生再設計第一世代の特徴を書いてみようと思います。

ただ、僕一人の偏った意見なのでご了承下さい。

その1 基本的に冷めている
まず就職活動で躓いて、厳しいスタートをしており、入ったら入ったでまだ昭和の空気が残っていて、残業代がつけられなかったり、会社に対してそもそもあまり期待をしていません。

なので、冷めていると言いますか、会社への忠誠心が低い世代になると思います。

僕も会社を2社ほど辞めてますが、それでも一社目が一番愛着があり、2社目以降には愛社精神はありません。

なので、この世代はドライとか言われますが、会社に対するドライさであって、人間的には苦労してるので、後輩には優しいところもあると思います。

ただ、自分が苦労してるので、人が苦労しててもそんなもんだろうと積極的には助けない側面はあるかもしれません。そう言えば、詳細な時期は忘れましたが、社会人になってからやたら自己責任論が言われていたような記憶があります。


その2 バブル入社組がきらい
世代論で語り過ぎるのも良くないと思いますが、今の50歳くらいのバブル入社組の事が好きではありません。

内定拘束でディズニーランドとかがあったとか、銀座に会社の金でよく行ったとかいう話を聞いたりするんですが、彼らの楽天的で先をよく考えて計画を立てることをせず、時間が解決してくれるだろうと言うような態度を見ると本当に残念な気持ちになります。

また、彼らは飲み会が好きで、調子に乗ったときに宴会芸とかないの?とか言ってきて、ほんと昭和の平和な方々なんだなと思いますね。

人事的にも未だボリュームが多いバブル世代が、そろそろ年齢的には役員に登用される世代になってくるので、ここで人選間違えると会社へのダメージが大きいんじゃないかと思います。


その3 デジタルネイティブ第一世代でもある
大学で情報処理の授業があったり、ネット就活が始まった世代だったりするので、基本的にITにはそこそこ強いです。

また、就活氷河期にはシステム会社は比較的採用意欲が旺盛だったので、この世代のプログラマーやSEの比率はそこそこ高いと思います。


その4 成長意欲が高い世代
基本的に会社を信用してなく、個人として卓越していないと取り残されるとの恐怖感から成長意欲は高いです。でもさらに今の若手はさらにその傾向が強くなってるかもしれません。


僕は運良く就職出来ましたが、フリーターや非正規雇用職業訓練が積めなかった人達に対して、対策を施すという事なのだと思います。個人的な感覚ですが、何か新しい事を身につけるのは45歳まではまだ大丈夫だと思いますが、それ以降はかなり厳しいと思います。

なので今後三年間で集中的にというのは分かるのですが、具体的な支援となるとまずマインドセットから変えてもらわないといけない中で、僕のように冷めていて組織に期待してない人間、そして社会に裏切られたとネガティブな思考を持っている人間の考え方を変えて、尚且つ職業訓練を積んで社会で活躍してもらうのは容易ではないなと思います。身も蓋もないですが。

活躍するチームの法則

最近チームに関する本を読んだんですけどなんとなくイマイチでした。僕は会社で選抜研修を担当していまして優秀な人を200人くらい見てきており、また選抜研修ではグループワークを行って、最後に役員に発表するのですが、事業化まで行くようなケースから、活動途中で空中分解しかけたケースまでこれも何十チームも見てきました。

そんな中で活躍するチームというのがある程度見えてきたのでその事をちょっと書いてみようと思います、

その1 チームはリーダーの能力を超えられない

最初は選抜者が集まっている研修なので、メンバーのトータルとしての力が重要かなと思っていたのですが、リーダーの影響力はとても強いと思い直した次第です。

基本的にリーダーがチームの運営をしていくので、どの位の頻度でミーティングを開催するのか、進捗の管理はどうするのか、全体の流れをどう作ろうとしているのか、リーダーの力量はチームの成果に直結します。

と言うことでリーダーが迷うとチーム全体が迷います。リーダーの責任は重大です。

また、リーダーには専制的なリーダーと民主的なリーダーがいますが、成果という面ではあまりおおきな差はありませんでした。

ただこれは半年程度の研修なので、専制的なリーダーでもなんとか持ちますが、これが通常の業務とかだと部下が疲弊してしまうかもしれません。

とにかくチームの活躍の成否はリーダーが握っていると行っても過言ではありません。


その2 メンバーにニックネームを付けている

どういう事かと言いますと、例えば5人くらいのメンバーで活動する訳なんですが、データ分析が得意な人を「データサイエンティスト」と呼んだり、独創的なアイデアをだす人を「イノベーター」と呼んだりして、得意な役割をニックネームという形で強調して、メンバー本人も気持ち良く役割を受け持てるような雰囲気を作っているグループは活躍します。

メンバー間で得意分野が異なり、たとえば顔が広くてアポイントをたくさんとってくれる人と、ヒアリングや仮説を構築するのが得意な人、資料を作るのが得意な人とかが分かれているとさらに活躍する傾向があります。

あるリーダーにこの法則を伝えたところ「僕はドMなので犬と呼んで下さい」とかなり的外れな宣言があり、そのグループはちょっと残念な結果となりました。


その3 指導を受ける回数が多い

各グループは社内の有識者についてアポイントを取って指導を受ける訳ですが、自主的に沢山の指導を受けているグループは活躍する傾向があります。

やはり、自分達の意見をぶつけて、それに対してアドバイスを貰い、何度も繰り返す事でチームが成長します。

テニスの壁打ちのような物で、壁に何回も挑んでいったほうが上達するようなイメージですね。


その4 レベルの低いメンバーに対する思いやりのある無視

選抜者とはいえ、レベル差はやはりあります。グループのメンバーが5〜6名いる中で、やはり1、2名は残念ながらあまり活躍出来ません。

また、グループで討議していても、レベルが高いメンバーで会話していると会話のテンポがものすごく早いのですが、レベルの低いメンバーに合わせようとすると会話のスピードが落ち、内容もありきたりなものになってしまいます。

優秀なリーダーはその辺が分かっていて、会話は優秀なメンバーだけで進めて、最後にレベルの低いメンバーにも意見を聞いて孤立感を味合わせないような工夫をしています。

出来るリーダーは腹黒さと、それを見せない工夫もしっかりしています。


その5 活動に時間をかけている

働き方改革の時代にあまりこういう事を言うのは良くないのですが、量で質を上げるというのはやはりあると思います。

あるとても発表内容が良かったリーダーに後日聞いたところ、研修期間中は仕事そっちのけで9割研修に時間をかけていたという事でした。

いいかどうか正直微妙ですが、成果を挙げられる要素であることは間違いありません。


その6 働きかけが強い

活躍するグループは対外的な働きがけがとても強いです。事務局への問い合わせも多いですし、ダメ元でもまずは聞いてみるというような事をよくしています。

逆にダメなグループはこちらから働きかけても反応がなく、これ以上何も言われたくないと殻に閉じ込もってしまいます。


その7 きちんと議事録を書く

長い期間中活動をしていると議論が堂々巡りをしてしまうことがあります。また、有識者ヒアリングして、その時は覚えた気になっても、記録していないと人間は忘れるものです。

なので活躍するグループは面倒くさがらずに議事録をちゃんと出してきます。また、ごくまれに打合せ中に高速タイプしながら議論をまとめ、打合せ終了と同時に議事録を発行するスーパーな人もいます。


その8 データに基づいて議論している。

議論でありがちなのは、主張をぶつけ合って時間だけが過ぎていくパターンです。優秀なリーダーはそれが分かっているのでデータやファクトをベースにして議論を進めます。メンバーが異なる考えを持っていたとしても、データという時日には逆らえないので、議論も自ずと地に足がついたものになります。

以上、8つの活躍するグループの特徴を書きましたが、全て当たり前と言えば当たり前の内容です。

チームの運営に魔法の銀の弾丸はありません。地道に当たり前の事をスピード感を持って進めるというのが結局は成功の近道だと思います。

現役人事屋から新入社員のみなさんへのアドバイス

弊社にも新卒が入社してきましたが、そろそろ入社直後の緊張は取れ、研修で覚えることが山ほどあってよく分からないなーという時期でしょうか。

今僕は人事系の部門にいる事もあり、新入社員の方が疑問に思う事やアドバイスをいろいろ書いてみたいと思います。

その1 新入社員の配属先ってどう決まるのか?
職種限定で入社した人は別ですが、総合職採用で、入社後にどの部門に配属になるのかは、新入社員研修の配属後に決まるという方も多いと思います。

希望の配属先にならないともう転職を考えるというような方も増えてるみたいですが、会社側の事情としては、各部門からの要望を取り纏めて新入社員を割り振らないといけません。

当然、会社のニーズと新入社員の第一希望が完全にマッチする事はないでしょうから、不本意な配属になる事も多いと思います。

実は会社側も新入社員の特徴をあまり理解出来ていません。(本当はそれだといけないんですが)

ただ、優秀な人は基本的にどの部門に配属されても活躍しますし、そうでない人は何処にいっても厳しいです。

しかし、営業がやりたかったのに経理に配属されたというような例はちょっとしんどいですよね。

僕も新入社員で入った会社で、同期が100人くらいいる会社でしたが、ほとんどが東京勤務のなか、大阪配属が2名だけいて、そのなかの一人でした。

大阪は縁もゆかりもなかったのでかなり凹みましたが、かなり鍛えられたと思いますし、嫁さんもそこで出会ったので、逆境を楽しんでみると割り切れるといいかもしれません。


その2 希望の配属じゃなかった場合は?
配属先の希望を出して人事が調整する訳ですが、会社の決定に異議を唱えるのは中々難しいと思います。ただ、会社側も説明責任はあると思いますので、あくまで前向きに「第一希望と違う部署になりましたが、頑張ろうと思います。この部署に配属になった理由を教えてくれませんか?」というような聴き方をするといいと思います。

そこで、納得のいく回答があればそれでいいと思いますし、逃げるような対応だった場合、その会社は本当に大丈夫なのか頭の片隅においておいた方がいいかもしれません。

あと、キャリアスライドという考え方があります。例えば先程の例だと、営業希望だったのに経理に配属になったとして、財務諸表や決算書が作れたり読めるようになり、経理の仕事が楽しくなればそれでもいいですし、社内公募や転職で営業を希望する際にそれが強みになるかもしれません。

社会人としてこれからおそらく40年以上は働かないといけない訳ですから、自分の強みの分野は複数持っておくに越した事はないと思います。


その3 石の上にも3年ってどうなの?
法律違反のブラック企業はすぐ辞めるべきですが、辞めなくて良かったのか、辞めて良かったのかはひとそれぞれなので、ある人の成功ケースがそのまま自分に当てはまる事はないと思っておいた方がいいと思います。

また、辞めようと思った時期の景気も大事です。売り手市場の時に辞めるのか、景気が悪い時期に辞めるのかでかなり置かれた状況が異なると思います。

一番大切なのは辞めて後悔しない事です。僕は2回ほど会社を辞めてますが、一社目を辞めたときはかなり後悔しました。

やはり新卒で入った会社はそれなりに思い入れがありますし、会社は新卒を大事に育てています。中途で別の会社に入るとそれをすごくありがたいと感じる訳です。

なので、石の上にも3年はケースバイケースですが、ネットの情報に惑わされずに、自分でしっかり考える事が大切だと思います。


その4 配属先の上司がパワハラだった
自己愛性人格障害を疑った方がいいケースもありますが、他にもいくつか考えられるケースがあります。

1つめは、上司が極めて優秀なケースです。と言うのも優秀な上司は出来ない人の気持ちが分かりません。また、高い目標を持ち、部下にも同じ様に高い目標を求めがちです。実はパワハラと言われているのはこのケースが多いのではないかと思っています。

2つ目は、そこそこ優秀な上司で、異動が少なく、ずっと同じ部署で同じ仕事をしている上司です。このタイプは、現場で誰も物申せなくなってしまって、天狗になっているケースです。本当は人事部門がローテーションをかけなければならないのですが、出来ていないという状況です。

このような上司に遭遇してしまった場合は、まず証拠を残す事です。レコーダー等でパワハラ発言を記録しておき、出来れば複数回証拠を抑えて人事部や組合に相談する事です。

自分の身は自分で守るしかありませんし、命より大切な仕事はありません。


その5 すぐに転職を考えるのはどうなの(2020年3月追記)
上にもちょっと書いてますが、新型コロナウイルス感染症の影響で、インバウンドはかなり厳しい状態です。景気後退も可能性も高まってきた中で、今すぐに転職を考えるのは得策でないかもしれません。

この状況でお給料が払えると言う事は、売上げをしっかりあげられているか、会社の財務が盤石か、借金しているか(またはそれの複合か)のいずれかです。

法律に違反しているような過度のブラック企業は論外ですが、転職市場は相当に冷え込むでしょうから、避けたほうが無難だと思います。


少しは参考になったでしょうか、業種や老舗企業かベンチャー企業では対応すべき方法は少しずつ異なるとは思うのですが、少しでもお役に立てたら幸いです。

【書評】ローランド様の「俺か、俺以外か。」

「去る者、追い越す」(ローランド様語録より)

ローランド様を知ったのは、YouTubeを見てたらなぜかおすすめでHostTVが出て来て、なんだか面白い事言う人だなあと思っていたのが最初です。

最近は地上波にも出て、池袋で展覧会もやってて、このように本も出されたみたいで飛ぶ鳥を落とす(ローランド様風に言うと飛ぶ鳥すら来店したがる)勢いがあるなあと思っている次第です。

本書を読んでて思ったのが、ローランド様のやってる事は基本的には大喜利だなと言うことです。「ナンバー2のなり方教えて」とか、本のタイトルにもなっている「俺か、俺以外か。」とか、「俺は自分だけで輝ける。何故ならスターだからだ」とか、ファンの事をローランダーと呼んだりとか、「がんばろーらん」とか、一歩間違えれば(いや間違えなくても)ベタなおやじギャグです。 

友人が池袋の展覧会に行ったそうなのですが、入り口がローランド様ご本人用と、一般人用に別れてるらしくて、ローランド様のご本人用は金ピカで通常扉が閉まってるらしくて、もはやコントの番組用のセットと言っても過言ではありません。

しかし外見がお美しいのでそのギャップが面白いのですが、自分のキャラクターを際立たせて自らネタ化している点は特異だと言えます。

やり方としてロバート秋山のクリエイターズファイルや、友近が演じる水谷千重子と近いイメージです。ただ、お笑い芸人以外でこの手法を使っている人はあまり多くないと思います。(ガクト様は自分をネタ化している側面がありますね。ローランド様を弟分と公言しているのも理解できます)

自己プロデュースの才能と努力もあるのだと思うのですが、自分自身をネタ的に扱う事に躊躇が一切ないと言うのがローランド様の恐ろしい所であり、他のホストとの違いなのだと思います。

また、成功した芸能人やミュージシャンでも、鬱を患っていたりとか、クスリに走ってしまったりとか、人気商売はストレスが並大抵ではないと思うのですが、実態はどうであれ、ローランド様は常に自信を持っているように感じられつつ、おやじギャグ的な言動で親近感も湧かせるというのがとても上手いなと思います。

あと以前、HostTVでお客が結婚するからもう店には来れないというシチュエーションのやり取りがあったのですが、そこでローランド様は「卒業生みたいなものだから、疲れた時とかたまに来てくれたらいいよ。同窓会みたいな感じで」というような返答をしていたのを見たんですが、めちゃくちゃ頭の回転が早いなと思った次第です。

多分ホストにならなくても成功してたんじゃないかと思いますが、最近思うのは何か圧倒的な成果を上げてる人に共通するのは目標に対して狂気すら感じるこだわりを実行していう点です。ローランド様は美へのこだわりが半端なく、電源の延長コードが許せないとか、テーブルの位置はミリ単位で調整するとか、ちょっとおかしい(褒め言葉)のですが、それだけ突き抜けていて、非日常感を演出する自己プロデュースが圧倒的です。ただ、歌うのが好きというのは聞いたことがないんですが、どうなんでしょうか。気になります。

本としてはさらっと読めるのですが、Kindleで100冊くらい本を読んでて初めて電子書籍用の特典があってちょっとびっくりしました。

あと、あとがきの内容はちょっと感動します。高くてすぐ読めたけど、まあ買ってよかったかなと思いました。

基本的には自己啓発本なので、ローランド様に興味がある方はどうぞという感じですね。

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

  • 作者:ROLAND
  • 発売日: 2019/03/11
  • メディア: 単行本

バブル世代の上司とそりが合わない件

今の職場の課長と部長が揃ってバブル世代で、僕自身は氷河期世代なんですが、全くそりが合わないのでその事について書いてみたいと思います。N=2で判断していますので、極めて偏った見方になっているかもしれず、ご了承下さい。


その1 根拠のない楽観主義

これはネットでも指摘されてる事ですが、仕事の段取りや計画が甘くて「まずやってみようよ」が口グセです。やるのはスタッフな訳ですが、仕事増やしといて人事部や組合から色々言われてるので残業はダメとか、言ってる事が支離滅裂です。後輩には「あれが戦時中の上官だったら、とっくに部隊は全滅してる。平和な時代でよかった」と言って慰めてます。やはり組織はリーダーの力量以上のパフォーマンスは発揮出来ませんから、マネジメントから降りて頂きたいと切に願っています。


その2 上への媚

一緒に働いてて思ったのが、上への媚がすごいなと言う事です。我々氷河期世代は会社とは信用ならないというような感覚があり、冷めた目で会社を見てますが、バブル世代は会社に対する忠誠が半端ないと思います。なので上から言われた事は盲目的に従いますので、個人としての芯がないというか、フィロソフィーがないなと残念な気持になる事が多いですね。

僕も残業が多くて人事部に目を付けられているんですが、人事部への心象が悪いからということで管理職登用を見送ると言われ、それって自分の保身じゃないかと思いましたが、長時間労働をしてる僕も悪いといえばそうなんですが、情けない気持ちになりました。


その3 ITが苦手

会社に新しいITの仕組みが導入されると、物凄く拒否感を示しつつ、自分で理解することは早々に諦めてやたら質問してくる傾向があると思います。バブル世代が働き出してパソコンが普及しだしたのは入社してからしばらく経ってからですから、不幸と言えば不幸なんですが、SKILLは確実に劣っていると思います。


その4 マネジメントが苦手

バブル世代は、入社時はバブルでしたが、バブルが弾けたあとに後輩が入社せず、後輩を始動した経験がないままに管理職になっていたりします。

これも不幸であるとは思うのですが、部下としてはたまったものではありません。


その5 人はいい

氷河期世代みたいに合理的でややもすれば冷たく、かつひねくれてしまってる訳ではないので、ノリはいいし、人もいいと思います。ただ、何でしょう、仕事はちょっと別かなというのはあります。


しかし、バブル世代にとってみると、入社後はバブルが弾け、後輩も入らずに下っ端期間が長く、会社も教育費を削ってた時代で、それでも会社に尽くしてようやくそれを回収出来る時期になってきたのに文句ばかり言われるのでは腹が立つのではないかと思います。

氷河期以降の世代は危機感から成長意欲は高いのですが、バブル世代は会社への忠誠心は高いものの、成長意欲はそこまで高くなく、また50代に差し掛かってますから、これ以上のスキルアップは正直難しいと思います。

企業側としては、それでも諦めずに教育を施していくのか、本人の能力に応じた処遇にするのか、いずれにしてもこのまま逃げ切りが出来ないのではないかと思っています。

【書評】ファンタジーランド(上)狂気と幻想のアメリカ500年史

「自分が信じていることが正しいと思っているのであれば、それは正しい。」(本文から)

僕はアメリカ人の知り合いはいないのですが、GAFAはすべてアメリカの企業ですし、アメリカ人はとても合理的なのかなと漠然と思ってました。

しかし一方で進化論とかを信じない人もいるみたいで、聖書に書いてあることは全部正しくて、人類の歴史は7000年くらいしかないと信じてたりとか、なんと言ってもトランプさんを大統領に選んでしまった国ですから、なんかよくわからないなと思ってこの本を手に取った次第です。

結論から言うと、合理的な思考をするような層と、聖書に書いてあることが全部現実だと思っている層がそれぞれ存在している国がアメリカなんだと思った次第です。

アメリカという国の成り立ちとしても、そもそもプロテスタントは、カトリック権威主義的な傾向への批判があって、キリスト教徒一人ひとりが真実が何かを見きわめるべきであるというような思想を持っていて、さらにその急進的な過激派がピューリタンだったようですから、ご先祖からして思い込みが激しい人たちだったのだと思います。インディアンを虐殺しながら西進するのを Manifest Destinyって言ってしまうお国柄ですからね。

本書の中で個性的な人物が何名も出てくるのですが、特にアン・ハッチソンという女性のエピソードは印象に残ります。熱心なピューリタンの信者だったのですが、カリスマ性があり、次第に気に入らない聖職者の話を聞かなくなり、自分自身が説教をするようになっていったそうなのです。どうも自分が直接的に神の啓示を受けたという確信があり、聖書以外の本を読む必要性がなく、自分が感じた真実は何よりも重要という思考を持っていたそうで、反知性主義アメリカの宿痾なんだなあと感じた次第です。

そういえば、昔母親がスピリチュアルにハマりかけてちょっとやばかった時にシャリーマクレーンのアウト・オン・ア・リムという本が家にあった事を今思い出しました。シャリーマクレーンの遠い御先祖を辿るとアン・ハッチソンに行きつくかもしれません。

本書はアメリカ人はそもそも思い込みが激しいというか、幻想を抱きやすく、確信を持った信念に反する不都合な事実は無視し、Post Truthとよばれる現在の下地は建国の歴史からして既にあったという事を論じています。

きっと恐らくそうなんだろうなと思うのですが、アメリカの歴史を全て誇大妄想的な国民性と結び付けて語りすぎてるのかなとも思いました。

あと、前半のエピソードは割と丁寧なのですが、1960年代になるとたくさんの事例が出てきてあまり深い考察はなく、著者個人の経験や感想も入ってくるので前半のほうが面白かった印象です。