Search Console

さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

町内会の会合と会社の会議がもの凄く似ていた話

僕はいわゆる転勤族で、今は地方都市に住んでいるのですが、歴史や伝統がある所なので(それでもかなり参加者は減っているとの事なのですが)お祭りとか運動会とかイベントがかなりあります。子供がまだ小さい事もありいろいろ声をかけてもらえるのでありがたく各種行事に参加させてもらっています。

毎年新年会も近くの神社で行われるのですが、余所者なので隅っこで大人しくしています。ある年の新年会で、その年に新たに町内会長になる方や会計担当の方から町内会の役員ぎめのルール変更をしたいという提案がありました。やはり町内でも少子高齢化が進んでいて、今までの班編成とそれに応じた担当(厚生委員や子供会など)では負担が大きいので、班を再編成をしたいという話がメインだったのですが、大きい話ですし、かなり意見が出る中で収集がつかなくなりそうになりました。

そんな中でもだいたい意見が出尽くしそうなタイミングで、長老格の方が「町も昔と変わりつつあるし、せっかく案を出してくれたんだから、やってみたほうがいいのではないか」と発言され、異論を仰っていた方もなんとなくおさまる感じになって、新年会なのでお酒も入ってにぎやかな感じになり、なんやかんやでお開きになって、奥様方や若集がとっちらかった宴会場を綺麗に片づけるという光景を目の当たりにし、ニュータウンの団地育ちの僕にとってはいわゆる伝統がある町内の意思決定プロセスの場に参加させて頂く貴重な体験を出来た事をありがたく思った訳です。

ですが、実は全然貴重な体験じゃなくて、会社でもかなり遭遇している場面だと後で気が付きました。

例えば、先日グループでちょっとした業務改善の話があり、若手が業務プロセスの変更を提案してくれたのですが、あまり工数はかからないとはいえ、全員に影響が出るような内容でした。

上記の町内会宜しく反対意見を含めて活発な意見が出た中で、その場には部長もいた訳ですが、会議の最後に部長が決めるのかなと思いきや、「○○さんに聞いてみよう」という主旨の発言で、内心ずっこけました。○○さんは役職定年した元お偉いさんで、人徳があり皆が慕っているいわば長老的な存在ですが、もちろん指揮命令する立場ではありません。

なんというか話の流れがもの凄いそっくりだった訳で、よく日本企業は会議が長くて決まらないのは無駄とか言われますけど、これは会議の場において日本人にインストールされたプログラムが自然と起動してしまうのではないかと言うのが僕の仮説です。

おそらく、昔は村の寄り合いとかで若い衆が村の現状の問題を提起します。ただ若者ならではの考えの浅さもあったりして、経験豊富な長老が折衷案を出し、何となく場がおさまるみたいな事を稲作が始まってから連綿と続けてきたのではないかと想像します。

今と違って村で産まれて、村で結婚して、村で子孫を残して死んでいく訳ですから、少し不満があっても村の存続が自分と家族の存続とほぼイコールだった時代、これはとても合理的な行動様式なのだと思います。これは地域に根ざした町内会も同様です。

ですが、営利企業である会社にはこの行動様式はますますそぐわない時代になってきてしまいました。我々はおそらくインストールされているプログラムは無意識に起動しがちです。先程の会社の例でいうとライン長である部長であれば結論を先送りにして、長老格のご意見を伺う必要性はなかったと思う訳です。

ただ、難しいのは日本企業で合理的な決断ができる人は、「あの人は冷たい」といって特に部下から必ずしも支持される訳ではないというのも否定は出来ません。

故に、答えは見えていても議論尽くさせつつ、反対意見も尊重して、長老的な役割自体もリーダーが全うするような行動を身につけていきたいと思います。