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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

住宅ローンの金利がどう決まるのか、正直な書き方を金融関係者は誰もしてくれない

さぷさんです。マイホームは買いたくない派で、住宅ローンについてかなりマニアックに調べたことがあったのでその事について書いてみます。

住宅ローンの記事は山ほど読みましたが、金利の決まり方についてはなんかよく分からないなーと思っていました。

大体の記事において、「固定型は長期金利と連動し、新規発行の10年物国債が指標になる。変動型は短期金利と連動し、企業に貸し出す際の優遇レートである短期プライムレートと連動する」とかさらっと書かれる訳です。

あと、固定金利変動型やミックス型もありますが、結局は固定金利と変動金利の組み合わせですから、基本を抑えておけば応用はなんとでもなります。

さて、金融機関に勤めておらず、上の説明が一発でわかったらかなりの天才だと思います。僕もさっぱりわかりませんでした。連動とか指標とか奥歯にものが挟まったような書き方な訳です。

ただこれがあまりどストレートに書くと読者が気を悪くするので婉曲的な書き方だというのが分かるまでにだいぶ時間がかかりました。

お金を融資する側の金融機関のビジネスモデルというものは、基本的に金利差でサヤを抜くか手数料で稼ぐかのどちらかしかない訳です。

住宅ローンは前者の金利差でサヤを抜くという方に当てはまる訳ですが、銀行の自己資本比率バーゼル合意後は8%、取引先が国内のみの場合は4%ですから、多くの銀行は借金しながらビジネスをしている訳です。

そして銀行自身が予算ポートフォリオを組む時に、短期は短期、長期は長期でポートフォリオを組みます。長短の金利が逆転などしてしまったら、金利リスクで利益が吹っ飛ぶどころか、構造的にマイナスのポートフォリオが出来上がってしまうリスクが高まってしまいます。

ですので、銀行はおそらく短期金利ポートフォリオを組む時に短期プライムレートで資金調達して、それに利益と住宅ローンを組むお客さんの貸し倒れリスクのプレミアムを乗せて金利を決定しているのだと思います。

そう言う事ですので、連動とか指標とか言う言葉で誤魔化していますが、銀行側から住宅ローンを見ると冷徹なビジネスの論理で成り立っている訳であって、住宅ローンを借りる側へのやさしさなど当然1ミリもありません。

また、固定金利も同様ですが、10年物国債を買うのと固定金利で住宅ローン商品を売るのとどっちが楽にサヤ抜けるのかと言うことですから、そりゃ10年物国債がプラスの利回りであれば、そちらを買うと思います。(つい最近までマイナス金利だったので長期金利の運用担当者の方は生きた心地がしなかったと思いますが)

ですので、固定型の住宅ローンは10年物国債の利回りより高めに設定しておかないと銀行としてはビジネスとしての旨味がない訳ですね。

そして、短期プライムレートの貸出資金は無担保コール翌日もの等で調達されると思うのですが、コール市場は日銀が公開市場操作をしており、10年物国債も黒田日銀が絶賛買入れしてますから、要するに住宅ローンを組みたい人は日銀の金融政策決定会合の議事録にきちんと目を通して、今後35年を予測した上で購入する住宅ローンを決定すべきだと思うのですが、寡聞にして住宅ローンを組む際に金融政策決定会合、ひいては我が国の将来の経済情況を気にしている人を聞いたことはありません。

ですが仮に「今後35年間、日本のファンダメンタルズはおそらく低位安定を継続する可能性は高いと見込まれ、日銀も資産を積極購入し続けるだろうから住宅ローンは変動金利を選択する」という人がいたら確かに引きます。

ただ、個人的には財政規律が緩んでいた所を新型コロナウイルスがさらにぶっ飛ばしたので国債の国内消化率が高いとはいえ、近い将来どこかで財政危機が訪れてもおかしくないと思います。

ちなみに今から30年前はバブル期真っ盛りでありましたから、金利は最高で8.5%あったそうです。それが30年後に全期間固定金利ですら0.8%台でありますから、結論から言うと誰も30年後の金利など予測できないと言うことです。

そんな訳で悪いことは言わないから固定金利にしておくといいという事になるのですが、目先の安さに惹かれたのか、窓口で絶賛オススメされたのか、変動金利を選ぶ人がそれなりに多いようですが、悪い意味での金利上昇が発生したらどうなってしまうのかしらと思います。

まあいろいろ考えるタイプはいつまでたっても家が買えないわけであって、それもそれでよくないとは思いますが、住宅ローンの決まり方についてはファイナンシャルプランナーの方含め、もうちょっと率直に金利の決まり方を伝えてほしいと思います。

「住宅ローンを組みたい人は、銀行の長短どちらかのポートフォリオの一部に組込まれた訳であって、銀行の利益とあなた方の貸し倒れリスクのプレミアムもしっかり織り込まれてますよ」とか、、まあちょっと無理でしょうね(笑)