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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

【書評】メンタリズムの罠で催眠術がちょっと使えるようになった話

昔はテレビで芸能人に催眠術をかけて体を動けなくするとかいう番組をよく見た気がするのですが、そう言えば最近あまり見ない気がします。でもあれってなんだかやらせなんじゃないかと思ってしまいますし、どうしても眉唾ものというか、胡散臭い印象は拭えません。

ダレン・ブラウンは本国イギリスでは有名で、メンタリストのDAIGOもこの本をバイブルにしているとの事なのですが、今まで寡聞にして知りませんでした。

この本の中では色々なトピックスが書かれている訳ですが、一番興味深かったのはこの催眠術のパートです。本を読む前の僕の催眠術の認識は「よくわからんけど人を思い通りに操る方法」だった訳ですが
この認識は180度違いました。

目からウロコだったのですが、本を読んでて気が付いたのは催眠術とは「(催眠術をかける)相手が望んでいる事をお手伝いする」という事だったんですよね。これには正直驚きました。

どういう事かと言うと、催眠術をかける相手は意識的にしろ無意識にしろ当然何かの欲求を持っている訳です。例えば、お金持ちになりたいとか、異性に持てたいとか、お腹が少しすいたとか。

人間の凄いところは想像力があって、現実でないものでもリアルに思い描く事が出来る能力がある訳ですが、催眠術師はそれをお手伝いしてあげるという事なんです。

具体的には対象者が想像をしやすくする為にリラックスさせてあげる必要がある訳ですが、環境としてはやや暗い部屋でアロマなんかあるといいかもしれません。その上でゆっくり語りかけ、深呼吸なんかもしてもらって深いリラックス状態にまず誘う所までが第一段階だと思います。

この状態まで持っていく事が出来て初めて、催眠をかける事が出来る訳ですが、対象者が望んでいる事を対象者が容易に想像出来るような言葉であたかも現実であるかのように徐々に思わせていく事が大事だと思います。

例えば異性にモテたいひとに催眠術をかけるとしたら、「目の前に魅力的な人があらわれました。あなたをじっと見ています」とか言ったらいいのかなと思います。対象者はそれを望んでいる訳であって、深いリラックス状態に入っている訳ですから、そう言う前提があって催眠術師の話に乗ってくるのだと思います。重要なのは対象者が望んでいるストーリーを紡げるかどうかにかかっている訳です。

それでこの理屈が分かったら試したくなるのが人情というものですが、倫理に反する事は出来ないですし、この様なシチュエーションを作ったり、「ちょっと催眠術やりたいから被験者になって」とはなかなか妻や友人に言えるものではありません。

そこでひらめいたのはうちの息子達(9歳と5歳)です。夜なかなか寝なくて困っていたので、催眠術を使って眠らせてみようと思い、試してみました。

部屋の電気を消すので環境的には理想の状態です。仰向けに寝るように言ってから、まず何回か深呼吸をさせました。十分リラックスした所で寝たくなるような想像をさせます。いくつか試したのですが、一番効果的なのは、海の中にいるクラゲになったと想像させて、海中をゆらゆら漂いながら徐々に眠くなるという話です。

また、人は体を触ってもらうと落ち着くので、話をしながら手や足をゆっくりゆらゆら揺らしてクラゲのイメージを増幅させます。あと布団の海に沈み込んでいくイメージも有効なので、体をゆっくり押してあげることも同時にやります。

上手く行くときは開始3分くらいで本当に寝ます。初めて上手くいった時はちょっと感動しました。

睡眠術と子供の寝かしつけは大変相性がいいですが、これを妻に言ったらドン引きしていたので、あまり他人には言わない方がいいかもしれません。僕もこの本を読んで理解する前に他の人から「子供を催眠術のテクニックを使って寝かしつけている」と聞いたとしたら確かに引きます。

逆に試してだめだったのは、ライオンが草原で昼寝をするというストーリーを話した時で、ライオンという言葉を聞いて興奮してしまい、暴れだすという逆効果を引き起こしてしまいました。なかなか催眠術師への道は険しいようです。

最近は面倒なのであまり子供達にやってないのですが(というか私自身が疲れてて一番先に寝てしまう)たまに「クラゲの寝れるやつやって」とせがまれるので彼らにとって心地よいひとときであるのは間違いないようです。

なんだか書評ではなくなってしまいましたが、初めて催眠術というものを理論的に学ぶ事が出来たので大変興味深い本でした。

その他にも記憶術とか、トランプのちょっとしたマジックとか、なかなか面白くて実践してみようと思う内容が記載されており(逆に言うと内容が多くて雑多なイメージもある訳ですが)、機会があれば書評の第二弾も書いてみたいと思います。