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さぷ日記、主に本の書評

メーカーの人事部門で人材育成関係の仕事をしてます。仕事がら組織とか戦略とかの本の書評が多めです

【書評】TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか

僕が「信頼」という言葉で最近真っ先に思い浮かぶのは弊社の営業課長のNさんです。仕立てのいいスーツとシャツで小物は全部ヴィトンという、もしかしたらあっち方面の方じゃないかしら?という風貌なのですが、お話を聞いてると半端ない方でした。

通常ではありえない数の製品を受注し、工場の生産計画を狂わして工場側から直接怒られたり、高級飲食店で接待に50万くらい使うのはザラらしいのですが、その額が少なく見えるほど受注しているからお咎めなしだったり、Nさん会が定期的に催され、管轄外の地区の若手社員も参加して慕われているという、まあよくこんな人が弊社にいたものだという営業マンの方なのですが、売れる秘訣はお客様に「信頼」してもらう事だと力説されていました。

「どのように信頼してもらってるのですか?」とNさんにお伺いしたところ、例えばあるお客さんの所には先代の月命日に、先代が好きだったとらやの羊羹を奥様の所に毎月持っていくそうです。信頼関係が深く構築されているので、製品を買うときは無競合で値引きもなく受注なのだと。

もうこの方はやはり義理ごとを欠かさないあっち寄りの方だなと思いましたが、もうひとつ面白いお話をお伺いして、このNさんには高級車のディーラーからうちのクルマに乗ってくれというオファーがすごいらしいのです。今は月一万三千円でク○ウンに乗ってるそうなのですが、要するにNさんが持つ社長人脈が凄く、そのディーラーを紹介するだけで、あのNさんが使っているのならと高級車が相当売れるらしいのです。つまり、Nさん自体が信頼をベースにしたブランドであり、他の追従を許さぬ存在になっているという事がお話を聞いていて分かりました。

また、この手の人にありがちな、仕事で圧倒的な成果を出す人は家庭が破綻している説がありますが、Nさんも例外でなく、奥様からは何回か離婚を切り出されており、その度になんとか切り抜けているようで、「勲章みたいなもんだよ」と強がられていましたが、「逆トロフィーワイフですね」と言ったらボコボコに殴られました。

さて、話が長くなりましたが書評です。本書ではアリババやウーバー、エアビーアンドビー、ブラブラカー、またビットコインなどを例に取り、見ず知らずの他人のクルマに乗ったり、家に宿泊したり、国家が保証しない通貨の価値について、解き明かしていきます。

ただ、ネットや新聞でもこの手の記事はかなり出ているので、正直目新しさは感じませんでした。

また、中国の国民格付けの社会信用システムの話も出てきますが、本書に記載された時点ではまだ施行の段階のものですが、この前知り合いの中国の方に社会信用システムの点数が表示されているスマホを見せてもらいましたが、少なくとも上海では皆社会信用システムは使っているとの事でした。因みに是非を聞いたところ、中国はまだ民度が日本のように高くなく、国民のレベルを上げるのには必要なのではないかという意見でした。この方は点数が700点以上あり(930点満点)、中国では成功している方ですが、既に本の内容より現実がかなり先に行っていると感じました。

本書はアメリカでは2017年6月に出版され、翻訳はその1年後に出ているので翻訳までのスピードも速いと思うのですが、この分野は本当に成長のスピードが早いので、一年前であれば読む価値があると断言できたのですが、2018年の後半にこの本を読むべきかと言われると上記の通りあまりおすすめしないというのが正直な感想です。ただ、この分野の知識があまりない方については、キャッチアップする為によい本かもしれません。翻訳はこなれていてとても読みやすいです。

TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか

TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか