Search Console

さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

パッケージシステムの導入は設計思想も導入するという事

弊社ではOffice365が使われるようになってしばらく経つのですが、ファイルの保存先がかなりカオスな状態になっています。

基本はboxというクラウドストレージを使用しているのですが、office365のonedrive
も使えるので、そちらを使うケースもありますし、いろいろなしがらみでクラウドストレージがだめな場合があって、オンプレミスのサーバーも使用するという混乱っぷりです。

特にboxとonedriveはファイルの所有者は誰であるのかというフィロソフィー的な部分で水と油の設計思想であるので、非常に相性が悪いと考えています。

boxは日本人の考えるファイルの共有方法に近いため、オンプレミスからの移行には適していると思います。つまり、フォルダやファイルがそもそもあって、そこに対して管理者とユーザーを紐付ける事が出来るという考え方に則って作られています。

一方で、office365にはbox的な共有ストレージは存在せず、マイクロソフトはonedriveを使用してほしいとの前提に立つのですが、onedriveはファイルの所有者は、特定の個人に紐づくという設計思想よって成り立っています。

ですので、例えばスケジュール管理の資料を全員で編集する場合は、Aさんのonedriveにあるスケジュール管理のファイルを共同編集するという形を取ります。

つまり、スケジュール管理というメンバー全員が等しく使用するものだと日本人ならつい考えてしまうファイルであっても、所有者は特定の社員になる訳です。担当と責任範囲がはっきりしていると言えます。

どうしてこういう事になるかと言うと、推測ですが、米国は基本的には個人主義の国です。住所のアドレスが番地から始まるのも、オフィスが日本の大部屋とは違って個室かパーテションに区切られているのも、ジョブディスクリプションがあって、一人ひとりの仕事が明確なのも個人主義から来ていると思っています。(米国の人種、宗教は様々だと思いますが、ここでは議論を単純化するために、米国的≒wasp的という前提にしたいと思います)

もっと言うと、キリスト教は基本的に個人と神との契約ですから、多神教で世間の空気を気にする日本と米国は全く違う思考形態に立脚していると考えます。なので、どちらかというとboxの方が米国的ではないような気がします。

また、さらに実務上ややこしいのは実際共同編集する場合はonedriveに保存しておいたほうが、共同編集しやすいというのも輪をかけて管理を難しくしています。

また、以前教育研修システムの導入も検討した事があるのですが、どうも米国は研修体系として単体のモジュールが存在し、その組み合わせで研修が成り立っているというような考え方をするようです。

どういう事かと言いますと、例えばマネージャーにはマネジメントとコミュニケーションとコーチングと多文化理解が必要とされているとして、それぞれ別々のモジュールとしても単独で成り立つ研修プログラムをそれぞれ受ける(場合によってはモジュールを組み合わせる)みたいな形態を取るようなのです。

弊社の場合は、例えば新任管理職研修が3日間あるとして、その3日間の講義内容を考えるみたいな考え方を取るのですが、あまりに思想が違いすぎるためにシステム導入を見送った経緯があります。

上のふたつの例は極端な例かもしれませんが、システムは人間が設計するものであって、多かれ少なかれ必ず思想は反映されています。

パッケージシステムの導入は、ベンダーの思想導入という恐ろしさもあるという事をメタ的に理解しておくことは重要だと思います。