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さぷログ

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ポケットモンスターを子供が好きな理由の構造的理解

ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ- Switch

ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ- Switch

  • 発売日: 2018/11/16
  • メディア: Video Game

うちの10歳と6歳の息子達は例に漏れずポケモンが大好きなんですが、ポケモンは構造的にとても優れてると思うのでそれについて書いてみることにします。

ポケモンはトレーナーとポケモンのバディによる成長の物語であると言えます。主人公のサトシとピカチュウの絆の強さは、ポケモンにハマってない僕でも知っているくらいです。

このバディとしての絆ですが、アニメではトレーナーはポケモンの保護者のように描かれており、これはそのまんま親子の関係に当てはまると思います。

つまり、保護者の元で成長していくポケモン達はアニメの視聴者やゲームを遊んでいる子供達自身なのだと思うのです(一部の大きいお友達含む)

また、子供達はアニメやゲーム上ではサトシや他のポケモントレーナーになりきる訳ですから、主人公達にも感情移入し、ポケモンにも自然に感情移入するという二重の意味で感情が移入しやすい構造になっています。

あとポケモンのもう一つ重要な要素として進化があります。進化はだいたい3段階ですが、幼児、子供、青年のような外見に見えなくもありません。

ヒトカゲとかめっちゃかわいいのに、リザードンとかほんとに頼もしい訳です。

よってこのポケモンの進化という仕組みは、子供達の成長そのものを暗喩していると思うのです。

そうするとピカチュウの特異さがやや奇妙に思えて来ます。最近ライチュウはなんかなかったことになっているような気もしないでもないのですが、ピカチュウピカチュウのままでどんどん強くなっていきます。

アニメ的にライチュウはあまりかわいくないという事なのかもしれませんが(青年のメタファーなので当たり前ですが)、深く考えると大人になりたくない、かわいいままでしかも強くなりたい。いいとこ取りしたいというように考えられなくもありません。

子供達は自然にポケモンを卒業していくのだとは思うのですが、ちょっと気になると言えば気になります。

【書評】Satellite ジョナス・ベンディクセン

本棚にあったこの本を久しぶり出して見ていたんですが、そういえば最近はジョナス・ベンディクセンの名前はあまり聞かなくなった気がします。

このSatelliteという写真集のこの写真で一躍スターに躍り出たジョナスさんですが、日本でも一時期話題になったと思います。マグナムのメンバーですし。

この写真はザ・スペースシップ・ジャンクヤードという作品の中のひとつなんですが、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地は安くロケットを打ちあげられるらしくて、大量にロケットが発射されているそうなのですが、燃え尽きたロケットの部品が草原に落下するそうです。

ロケットは有毒な物質も多く含んでいるようで、土地が汚染されているそうなのですが、一方でロケットは貴重な金属を使っているので落ちた部品を売って生計を立ててる現地の人もいるそうで状況は複雑です。

写真集の名前題名であるSatelliteは、衛生のサテライトと、旧ソ連の衛生国家で撮った写真で構成されているので、2つの意味を含んでいるタイトルだったりします。

どうも絶版のようなのでAmazonではプレミアがついた価格になってました。

懐かしくなって記事を書いてみました。最新の写真集が発売されたら、また書評を書いてみたいですね。

追記
この前アマゾンで中古価格調べたら2万円くらいになっていてびっくりしました。大切にしたいと思います。

【書評】前田裕二さんにとってのメモとは果たせなかった両親との対話である メモの魔力

「書くか書かないか。もはやこれは、テクニックの問題ではなく、自分の人生とどれだけ真剣に向き合うのかという、「生き方」の問題なのです」(本文から)

今話題のこの本を一言でいうと前田裕二さんご本人もこの本の中でそのように分析されていますが「狂気」なのだと思います。メモ魔というよりメモ狂と言ってもいいかもしれません。

この「狂気」は一体どこから来るのものなのか、前田裕二さんにとってのメモとは一体何なのかと考えました。

しばらく考えていくうちにメモとは、前田さんにとって果たせなかった両親との対話であるのではないかという仮説に至りました。その視点で本書を見ていきたいと思います。

前田さんは8歳でご両親を亡くされ、11歳でギターの弾き語りでお金を稼ぐという過酷な原体験をお持ちです。

僕はいま10歳と6歳の息子がいますが、彼らとはよく対話します。「今何が好きなの?」「そうなんだ、サッカーなんだ」「お父さんはどういう子供だったの?」「大人しかったよ」とか本当にいろいろな話をします。

両親との会話はテニスの壁打ちにも似ています。気持ちや想いを言葉でぶつけ、その返しにまた返す。日々そういう事を繰り返し、徐々に自分の像をクリアにさせていき、徐々に両親の元から巣立っていく準備をゆっくりしていきます。

前田さんは壁打ちする相手を8歳にして失ってしまったなかで、おそらくメモによって自分との壁打ちを始めたのではないかと思います。「僕はこう思っているのだけど」という問に対して返事のない対話を。

なので、僕はこの本を読んでる最中で不意に涙が出そうになったのですが、前田さんのメモという行為が「ねえ、こんな事を考えたんだけど、お母さん(お父さん)どう思う?」という少年の前田さんの叫びに思えて仕方なかったからです。

最後の1000問の問も、あれは前田さんが両親と話したかった事なんだと思います。両親と話すのであれば1000問は逆に少なすぎます。

もちろん、前田さんがご自身の拘りまくる性格と努力の天才であるところも大きいとは思いますが、根源的な欲求はかなりプリミティブなものだと思うのです。狂気は原体験に宿ります。

なので、両親の子供でいられる20歳くらいまでに親と対話してきた僕らは前田さんの真似をする事はおそらく出来ませんし、する必要がないかもしれません。(社会人にとってメモは必要というは言を待たないですが)

ただ、前田さんにとってのメモにあたるものが僕にもあるかもしれず、それはこのブログかもしれないし、前田さんの言うとおりメモで自己分析して見つけたほうがいいかもしれません。

メモは大体においては手段です、ただ前田さんにとってのメモは今まで支えてくれた両親そのもの、過酷な人生を生きてきた証であり、これから生きていく道しるべであり続けているのではないかと思うのです。前田さんと読者は入口の段階で想いが全然違います。真似できない前提でいいと思います。

僕がこの本で学んだのはメモではなく、真剣に生きている一人の男性の哀しみと喜び、成功への狂気とも言える執念でした。

前田さんにとってのメモが狂気から共喜になる日を一人の読者として心から祈っております。

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

【書評】カミングアウト―LGBTの社員とその同僚に贈るメッセージ

「カミングアウトすることで、否応なく誠実で透明性を保ち、勇敢に成らざるを得なくなる(中略)もっと高い目標を目指し、クローゼットに閉じこもっていたときよりも、ずっと大きな人間になれるはずだ」(本文から)

LGBTの方は一説には人口の5%とか7%とか言われていますが、今のところ僕の知り合いにはLGBTの方はいないです。もしかしたらそうかなと思う人はいないではないですが、あまり聞くことも出来ないですし、おっさんずラブはヒットしましたけど、日本はLGBT後進国なのかもしれません。

また、以前ブログに書いたことがありますが、前職の会社の時に隣の課の管理職が多分ゲイの方で、当時20代でまだかわいかった(?)僕にやたら触ってきたり後ろから抱きつかれた事があって、マイノリティの方で世間的には弱者として見られている方だったとしたも、組織での強者の立場を利用してストレートに生きている僕へのセクハラはあるのだと思った事がありました。物事は常に複雑で多面的です。

さて、本書ですが、イギリス最大の企業であるBPの元CEOで世界で、最も尊敬されるCEOにも選ばれた事があるジョン・ブラウンさんが書かれた本です。

この本はジョン・ブラウンさんの個人の話、LGBTの現状、他の人のインタビューの大きく3つで成り立っていますが、繰り返し書かれているのが「クローゼットに隠れる」という表現です。

要するに本当の自分を隠して(クローゼットに隠れるようにして)、自分を守ることを指している表現なのですが、想像以上につらいでしょうし、心を痛める状態なんだなと思いました。

例えばパートナーがいたとしても、他人にその事を話す時は偽って男性の名前にしたり、結婚しない理由を考えたりしないといけない訳です。

そういう行動はパートナーに対して申し訳ないという思いや、他人にバレないために常に気を使っているのでそういう事に考える貴重なリソースを奪われているわけです。

また、不正直に生きているとの後ろめたさから、自分が仕事で成し遂げた成果も素直にそのようにアピール出来ないということもあるようです。

優秀な人というのは性別、人種、性的嗜好、年齢限らず優秀だと思うので、会社にとってもものすごい損失だと思います。

ただ、救いなのは確実に世界はLGBTの方に理解がある世界になりつつあるという事です。まだ職種や国によって濃淡はありますが、自分に正直に生き、それを尊重するような世界になればいいと思います。ジョン・ブラウンさんもそのように希望を持たれているようです。

LGBTの方が書かれた本はたくさんあると思いますが、この分野に問題意識をお持ちの方にはこの本はおすすめです。

【書評】「OJTの手引き」〜OJT関連の本を十冊読んだが50年前に出版されたこの本がスゴかった

僕はメーカーの教育部門で研修の企画運営の仕事をしているのですが、ある日ボスから「うちのOJTの力が弱まっている。OJTに関する研修を検討するように」という指示がありました。

研修担当者の尽きない悩みは、経営層から「リーダーシップを発揮出来る社員が少ない」とか「最近の若手はモチベーションが低い」とか、そういうお題を頂いてなんとか企画して研修を行うんですが、研修の効果測定というのは未だ有効なものは開発されておらず、出来る社員は研修でますます出来るようになり、出来ない社員は受けただけという結果になりがちであると言う事です。

また、研修をしたとしても効果が出るのはしばらく先であるはずなので、企業としての人材育成は必要だけど、うちの教育部門はだめだという評価になりがちだと思います。

そして今回僕が頂いたのはOJTというお題です。メーカーなので、生産現場のネジ締めから、AIとかに取り組んでる研究職まで幅広い仕事内容がある中で、OJTと言う言葉を聞いて一人ひとりが頭に思い浮かべる内容は微妙に異なるはずです。

企画するときに注意しないといけないのが、テーマの内容が各人各様の考えを引き起こしそうな場合は外堀を確実に埋めなければならないという事です。

特に教育関係でむずかしいのが、社会人であれば社員の皆さんは何らかの教育や研修を必ず受けてきているので、私の教育論をみなさん持っているという事です。

なので定義づけだったり、過去の同様の取り組みだったり、他社事例なども調べた上で上司に報告したり、役員会に諮ったりせねばなりません。これをやっておかないと議論があらぬ方向に行ってしまい頓挫してしまう可能性が高くなります。一方、資料作成にあまり時間をかけすぎても昨今の働き方改革の気運もあり、過剰品質は慎まなければなりません。難しい時代です。

さて、そのような中でどうしようかと思案したのですが、会社で以前はどのような事が行われていたのか、弊社の社史を見てみました。

そうすると1960年代頃は会社方針としてOJTが定義されていたという事実を見つけました。その中では、基本は自己啓発とし、OJTが日々の教育の場で、それで補えないものをoff-JTで行うと明記されていました。いい事を言うなと思いつつ、今の教育規定にはそれが書かれておらず、いつの間にか消えてしまったようです。また、OJT指導計画書もあって、提出が義務付けられていたようなのですが、これもなくなったようでした。社史は始めたことは書いてありますが、終わった事はあまり書かれていません。ただ、終了した事には何かしらの合理的な理由があるはずです。

あとはOJT関連の本を10冊くらい買ってひたすら読んでみました。その時に気を付けたのが、最新の本を買うだけでなく、年代ごとに買うと言うことでした。理由としては最新の本が必ずしも優れているということはなく、またOJTに関する考え方の変遷も見れるかもしれないと思ったからです。ちなみにAmazonで調べると容易に見つける事が出来るので、1960年代くらいから2冊づつくらい買ってみました。

その中で出会ったのが「OJTの手引き」という1979年に出版された本で、岸恒男さんという方の本でした。

1979年というのは高度経済成長期が終わり、1973年に第一次オイルショックが起き、さらに第二次オイルショックが起きた年です。本を読んでいて気が付いたのは現在の社会状況はオイルショック後の日本と相似形を成すということです。

いろんな方が仰っている事ですが、歴史から学ぶ事は大変重要です。全く同じ形で再現する事はありませんが、本質的な所では似通っている事も多く、且つ結果も既に明らかになっている訳です。過去から学ぶ事は数多くあります。

そして結論から言うと当時から本書で指摘されている事は全く古びていないと言う事がわかりました。要するにOJTを巡る状況は50年前から進歩がないと言う事です。

また、本書の中で自己啓発OJT、off-JTが大切であると説かれていました。ということは前述した社史の内容は、当時の有識者の意見そのままという事で弊社が考え抜いたものではなくちょっと残念な気持ちになりましたが、これも同時代の本を読んだからこその気付きです。

ちなみにこの本の中で、高度経済成長期以降の問題として、高人件費、技術革新や経営の競争による経験の陳腐化、労働観の多様化、高学歴化、高齢化、社会化、国際化への対応がそれぞれ重要だと説かれており、問題がほぼ同じ事に驚かされます。

また、OJT不信の原因は年功制であるとの考察や、再現性が低いものはOJTを実施しづらいなどの鋭い考察もあります。

さらにOJTの最終目標は相互啓発の「共有グループ」化という提言もあります。以下本文からの抜粋です。

『上司は必ずしも部下よりものを知っているとか、部下の経験したことがないような経験をしているとは限らない。今後はその逆も大いにあり得るということである。ニーズが専門分野の中で細分化し、多様化した時代では、一人の社員の変わった目新しい経験を、上司を含めて職場の全員が学び、そこから教訓を得るということは今後ますます必要になるだろう』

今から50年前に書かれたということにあらためて驚くとともに、この提言は今でこそ重要なのではないでしょうか。それ以外にも紹介したい内容がたくさんあるのですが、10冊程OJT関係の本を買って一番良かったのがこの本です。

東洋経済新報社から出版されており、現在は古書を購入するしかないですが、半世紀経ってもなお有効な本です。興味がある方はご一読をおすすめします。

ベンチャーのやりがい搾取のしくみを一般企業に導入できるのか?

弊社では社員のモチベーションが低いとか、若手はすぐ会社を辞めるからなんとかしないといけないとか、そういう話が最近よく出てくる中でちょっとしたアイデアを思いつきました。

「やりがい搾取」という言葉が最近だいぶ市民権を得てきたと思うのですが、この「やりがい搾取」は主にベンチャー企業とか最近だと有料サロンとかで横行している手法だと思っています。

僕は10年ほど前にベンチャー企業に勤めていた事があり、社員数はたしか当時200名くらいだったと思うのですが、元リ○ルートの社員が作ったイケイケの会社で、僕はそこで内勤営業のような仕事をしていました。

当時新婚でしたが、嫁さんと夕飯を一緒に食べた記憶はなく、今思い返すといい経験でしたが、ブラック企業だったと思います。

そんな訳で僕が当時感じていたやりがい搾取の構造とか雰囲気について考えたいと思います。

1、社長がカリスマ
話がバツグンに上手く、社員のモチベーションアップというか、煽りが秀逸でした。「なんの為にベンチャー企業に入ったのか、成長したいからだろう。人の3倍働いて圧倒的成果を上げないでどうする?」みたいな事を仰るのでなんとなく納得しかける訳ですが、毎日終電かタクシーみたいな生活をしててこれ以上がんばれない訳です。でもなんか話を聞いているとそうかもしれないと思わせる説得力があったのは事実です。また、クリスマスイブに残業している時はハーゲンダッツを大量に買ってきて配るというようなアメとムチの使い方が完璧で、多分宗教の教祖にもなれるのではないかと思いました。

2、カリスマ社長を支える幹部たち
社長に負けず劣らず幹部たちも濃いメンバーでした。ツーブロックゴリラマッチョ系から、なんかやたら切れモノ、何してるかよくわからないけどなんかめっちゃ美人まで、とにかく濃い方々が揃ってました。ただ古参のメンバーがちらほら辞めて行き、リ○ルートからの転職組がやって来ることが多くなっていた時期でもあったようで、立ち上げ期に必要とされていた人材と会社の規模が多くなってからの人材は異なるのかなと末端社員として思ったことがあります。

3、何故か多い美人社員
僕がいた会社もそうですが、ベンチャーに美人社員が多いのは何でなんでしょうね。顔採用をしてると言われたらそれまでですけど、金曜の夜中の二時とかに「これちょっと見てほしいんですけど、、、」とか相談されたりして、今冷静に思うとシュールな感じでしたね。

ただ、美人が多いのでテンションが高く保たれてたかどうかは微妙なところで、ベンチャー企業に来る女性は気が強い方が多い気がするし、僕自身疲れ果てて女性どころではなかったですね。

一方男性は僕を含めてイケメン揃いという言う訳ではなかった気がします。

4、なんか漂うキラキラ感
会社のイメージ戦略が成功してたんでしょうけど、キラキラ感が漂っていて、意識高い系ホイホイみたいな所はありましたね。上記の美人社員が採用インタビューとかで顔写真多めで出ていたり、会社のエントランスにデザイナーズチェアーとかを置いて高級感を醸し出してたと思います。

5、目標達成の見える化
オフィスの壁中に「○○さん、△△達成おめでとう!」という貼り紙が溢れてました。素直に目標達成おめでとうと言うのはいい事なんですけど、一方ローパフォーマンス社員にとってもこれはめちゃくちゃプレッシャーになる訳です。こういう所に全然出てこないのは本当にしんどくて、辞めていった人もいると思います。

6、MVP制度
月間MVP、年間MVPとかあったような記憶があります。最初は年間しかなかったのですが、月間MVP制度が出来て、それは5位くらいまで発表されるんですけど、これも全然名前が出ないとプレッシャーになって来て、なんとなくいたたまれない空気が出来上がるんですよね。出来る人のモチベーションを高めつつ、ローパフォーマー本人に徐々に退職の二文字をちらつかせる優れた制度だと思います。

7、派手な総会
リ○ルートみたいに芸能人を呼ぶとかはなかったのですが、社員の有志が本格的なダンスを披露するとか、かなり凝ったドラマを撮っていてそれを上映するとか、あんなに忙しいのにいつやったの?みたいな内容が多くて、いつもあっけに取られながら見ていました。

8、その他のイベントも派手
忘年会が六本木のクラブを貸し切ってのイベントだったり、誕生日のサプライズがやたら凝っていたりと何かと派手でした。残業ばっかりなのにサプライズでまた時間を使うとか正直理解できなかったのですが、地味キャラの僕はついぞ馴染めなかったです。

9、社内がいろいろ派手
社内にマッサージチェアがあったり、バーカウンターがあったり、バランスボールに座って仕事してる社員がいたり、まあとにかく派手でした。

10、激詰め文化
出来ないと詰めるという文化がありましたね。とにかくめちゃくちゃ言われて泣かせて自己否定させるくらいの感じでした。僕も最初の頃は仕事ができなかったので、かなりやられた記憶があり、トラウマです。今でもやっているのでしょうか。

11、多くのサークル
フットサルサークルとか、テニスサークルとか、休日に活動するサークルも多かったですね。平日に物凄い時間会社にいて、さらに休日もというのは嫌だったので僕は行っていませんでしたが、活発に活動していたみたいです。

12、凝った社内報
社内報が毎回凝ってましたね。レイアウトから記事の内容まで普通にクオリティが高くてかなり面白かったです。本当に残業ばかりの会社で、どうしてここまで出来るんだろうと不思議に思ってました。

13、退職の時もなんだか熱いブラック企業
この会社は2年半ほどで退職したんですが、退職日に色紙を貰いました。ふつう色紙って1枚だと思うんですが、写真とか貼り付けてくれたり、メッセージをたくさん書いてくれて、合計4枚ほどあったのが嬉しかったです。

あと、最終日なのにトラブルにまきこまれて、退社が夜中の2時とかになったんですが、真夜中の2時にお花を頂いてそこから仲良かった人と飲みに行ったのですが、やはりとんでもないブラック企業ですね。

14、毎日が文化祭的
そんなこんなで毎日が文化祭みたいな感じなんですよ。好きな人はほんとに会社の雰囲気が好きなので激務にも耐えきれるんですよね。逆にこの雰囲気に馴染めないと辛い以外の何者でもありません。

以上、こんな感じの会社でしたがここまで書いてきて気が付きました。こういう会社で給料はそんなに高くないし、毎日終電かタクシーなのに謎のモチベーションの高さで働いてると漠然と思っていたのですが、単純に会社を好きなんですよねきっと。イケてる会社、イケてる仲間、イケてるオレみたいな感じなのではないかなと思います。

なので、今の会社に必要とされる事は会社を好きになってもらう事かもしれません。好きになってもらうには、会社側からもあなた達の事が好きですというのを伝える事から始めるべきだと思います。

伝え方は会社それぞれなので、何もベンチャーみたいに派手にやる必要はありません。僕もそうですが、派手なのには馴染めない人もおそらく多くいます。

社員をどうやって会社のファンになってもらえるのか、雰囲気、制度、仕事の進め方、インナーブランディングと言ってしまえばそれまでですが、社員が会社のどこに魅力を感じているのか、またはどこが良くないと思っているのかを確認する所から始めるといいかもしれません。

【書評】FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

弊社の役員会議での発言を聞いていて気が付いたことがあります。事業部とかのプレゼンを聞いたあとに役員が「それってホントなの?」「それやらなかったらどうなるの?」「よくわからないけど、〜なんじゃないの?」みたいな感じでファクトとして語られている事が本当なのか、経営資源を投じて実施すべき内容なのか、あと自分が発言するときに事実関係が不明な場合はその旨を言ってから発言するなど、ファクトを大事にしてるんだなと思いました。

あとよく役員が言うのは「データは複数年で見てトレンドを把握しろ」とか「全体視点で判断しろ」とか「現場で確認したのか?」などですが、データやファクトに対するこだわりが半端なく強いです。

そんな会社の文化にどっぷり浸かっているのでファクトに対するリテラシーは高いんじゃないかと思って本書を読んだのですが、半分は当たっていて半分は外れていました。

著者のハンス・ロスリングさんはスウェーデン出身の公衆衛生学者の方なのですが、データを駆使して世の中は確実に良くなりつつあるということを世界中で講演されてきた方です。

私達は毎日のように事件や地域の紛争、貧困などをニュースやドキュメント番組で見てますから、まだまだ世界の大半は貧しいのではないかと想像しがちですが、確かに50年くらい前まではそのような状況だった国々が今はある程度レベルまで到達しているにも関わらず、先進国の皆さんに3択でクイズを出すと、正解率は3割を下回り、チンパンジー以下であるということをユーモアを交えて私達に訴えかけています。

僕も世界全体で見ると犯罪減り、今は人類の歴史から見ると史上最も安全であるというのはなんとなく知っていたのですが、ここまで良くなりつつあるというのは知りませんでした。

そんな我々の思考はどういう風なクセによって発生していて、どうすれば解消することができるのかという事を10の項目に分けて、考える習慣を身に着けよう(ファクトフルネスを身に着けよう)と提案してくれているのが本書です。

例えば、人間には恐怖本能があり、恐ろしいものには自然に目が行き、恐怖を過大に見積もってしまうという傾向があるのですが、それは狩猟時代だったら、猛獣から逃れるために必要だったかもしれないが、現代人には過剰な本能であり、大切なのはリスクを正確に見積もることで、リスクとは危険度×頻度で表されるものであり、恐怖でパニックになるのは仕方がないが、落ち着いたあとにしっかりリスクを計算しようというような事を提案されています。

また、ハンスさんは世界中を飛び回って病気と闘ってきた方なのですが、ある途上国の病院で勤務していた際、ファクトフルネス的な思考を持って、目の前の患者一人に最大限の対応をするよりも病院外の衛生環境を良くする方が結果として命を救えるというような信念を同僚の医者に話してケンカになったというエピソードがあったりします。

ハンスさんのすごいところは医者でありながら、統計学の造詣が深く、また全体視点で物事を考えるスケールの持ち主だという所だと思います。目の前の患者を救うことも大切だが、目に見えない命も同様に重いという発言や、仕事に対する覚悟としてはエボラ出血熱が発生した時も現地に向かわれて対応に尽力されたというエピソードも納められています。

また、この本を読んでいて思うのがハンスさんの誠実さです。赤ちゃんはうつぶせ寝が良いと言われていた時に、スーパーでベビーカーに乗っていて仰向けに寝ていた赤ちゃんをうつ伏せにしてしまった事への後悔、事実をよく考える事なく判断してしまった事が引き起こしてしまった悲劇などが率直に告白されており、僕も正直フルネスで生きていこうとあらためて思いました。

また、本のいちばん最後の章がまた読後感を複雑なものにしつつ、この本はKindleで読んだのですが、本の終わりにある注釈が全体の2割を占めており、ファクトを担保する情報収集は難儀だと思いましたがこの本に出会えたことを感謝したいと思います。

『世界中のすべての人が、事実に基づいて世界を見る日がいつかやってくるのだろうか?(中略)そんな日がやってきてもおかしくないし、いつかやってくると思っている』ハンス・ロスリング