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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

Vtuberを人事面から考えてみる

さぷさんです。Twitterをやめて浮いた時間がそのままYou Tubeの視聴時間にスライドしました。進歩が全くありません。

さて、僕はsnsをやっておらず、グーグラビリティも高くないと思われる中、こんなマニアックなブログにたどり着いた皆さんでしたらVtuberの存在はご存知だと思います。

Vtuberとは、CGのキャラクターを用いてYouTuberとして動画の投稿や配信を行う主体を指しますが、キズナアイ輝夜月、ミライアカリ、電脳少女シロの四天王の地位が安泰かと思われていたのも束の間、にじさんじとホロライブの2強を経てホロライブが1強になりそうというかなり目まぐるしい業界になっています。

何故ここ迄形勢が頻繁に変わっていくかと言いますと、彼女(彼)らの主戦場はYou Tubeですから、ファンの囲い込み戦略はほぼ不可能で、ユーザー側としてのスイッチングコストはほぼゼロに近い訳です。

また、幸か不幸かチャンネル登録数、いいね、コメント、スパチャなど、人気を測る数字を容易に見る事が出来るので、Vtuberの皆さんはKPIが見える化されている状況下での熾烈な競争状況にあると言えます。

そして、You Tubeは視聴者数は相当多いとはいえ、動画の視聴者数×視聴時間の分母の奪いあいですから、相当なストレス下にあるのではないかと思います。

今は新型コロナウイルスによる自粛ムードがまだ色濃い中で、従来はリアルのアイドルを追いかけていた層やライト層の流入がかなりあるのではないかと思うのですが、長期的には日常が徐々に回復するだろう中で、さらに厳しい戦いが待ち受けているのではないかと思います。

やや話が逸れますが、日本のリアルのアイドルが山口百恵松田聖子中森明菜などのソロが活躍していた時代からモーニング娘AKB48などの大規模なグループ単位での活動にシフトした動きが、Vtuber界はたった2年でそれをトレースするという動きとなっています。

あるVtuberが「Vtuberの一週間は一ヶ月くらいの(活動内容)の濃さがある」と言っていたのですが、それくらい目まぐるしいものなのだと思います。

さて、前置きが長くなりましたが、Vtuberアバターをアクターが演じている中で、本人とペルソナの関係性、新たな業界であるが故の運営体制の未整備、完全実力主義的な人気商売の業界であるなど、問題が生じた場合はかなり特徴的のある事態になってしまうのではないかと思います。

そのような特徴的でクリアカットされた状態から私達を逆照射する事によって、Vtuberの彼女(彼)から見えてくるものがあるかもしれません。

人事部的な視点で見たときに一体どのような事が言えそうなのか、見ていきたいと思います。

アバターとアクターの関係〉
彼女達(彼達)は、Vtuberとして動物的なキャラだったり、天使や悪魔のペルソナを纏っている訳ですが、どこまで本人がそのキャラクターに心から納得しているのかどうかという事が重要だと思います。

例えば運営がオタク好みの凝ったキャラクター設定をしたとして、その内容に納得していなかったり、設定を消化できていないような場合は、アクターとペルソナのギャップが大きくなり、活動に耐えきれないという状況が発生してしまうのではないかと思われます。

そして、ファンになってくれた人を裏切る事は出来ないと思い悩み、運営への不信が募る中で引退を決意せざるを得ないVtuberもいたとしたら、アクター本人にとってもファンにとってもダメージは大きいものになります。

ですので、アバターとアクターのギャップは出来るだけ発生させない事が重要だと思います。例えば、背の高くないアクターが背の高いアバターを演じたとした場合、やはりリアリティとか、声のトーンとかどこかで無理が生じてきてしまうような気がします。

もちろん、アクターとは違った個性のアバターを纏う事で違う自分を演じられるメリットもあるかもしれませんが、理想のアバターを纏ったことによって逆に現実がしんどくなってしまったら元も子もない訳ですから、どのようなキャラクターを演じたいのかは慎重に決めたほうがいいのではないかと個人的には思います。

実力主義の世界への対応〉
上にも書きましたが、Vtuberは人気商売です。もちろんガチ恋勢、箱押し、DDまで様々なタイプのファンがいる訳ですが、ファンが使える時間とお金は有限です。(借金してまでスパチャしてしまうファンがいるそうで、それはそれで問題ですが)

今後は純新規のVtuberファンは減っていき、他のファンの乗り換えがメインになってくるとすると、Gawr Guraのような40日で100万人を達成するような化け物Vtuberが出てきたら、その分誰かの視聴時間は確実に減っていきます。そして前述の通りスイッチングコストは限りなく低い訳です。

アクセス数やいいねの数など、自分自身がコントロール出来ないものに拘泥しすぎると精神が確実に病んでいきます。

人気商売ではありますが、この配信内容で伸びなければそれはそれで仕方ないという割り切りが必要かもしれません。

その上で、自分の短所やクセはあまり気が付かないものですから、仲の良い他のVtuberに相談したり、信頼できる運営に相談できるような人間関係を日頃から構築しておき、一人だけで悩んで負のスパイラルに陥るような状況を避けることが大切だと思います。

〈キャリア構築〉
例えば、Vtuberとして人気が出たあとで、アニメの声優のオーディションに合格した場合はどうなるのでしょうか。

Vtuberである事を隠して普通の声優としての活動も並行して行うのか、Vtuberの声優となるのか、権利関係もあるでしょうから複雑ですが、ほとんどのVtuberがアクターを明らかにしていない現在だと、それぞれ別々で活動する可能性が高いような気もします。

ただ、難しいのがアクターにとってはどれも自分の一部な訳で、演じ分けに疲れてしまうかもしれないという可能性があります。

また、Vtuberとして声優デビューするとした場合はかなりの話題は集められそうですが、自我がVtuberに閉じ込められている状況に耐えられるのか、「私(俺)って一体何?」というアイデンティティクライシスの状態になってしまう可能性があるかもしれません。

この点についてはキズナアイさんが相当先行しており、春日望さんがアドバイザーとして運営に参加する形をとっていますが、今後同じような例が増えるかもしれません。

〈働き方〉
Vtuberの活動はかなり過酷なようです。前述通り、ユーザー数×視聴時間の分母の奪い合いですから、基本的に配信数や配信時間を増やす事が基本戦略になります。見込みユーザーに単純接触効果を発揮するのも重要ですしね。

そんな中で28時間連続でゲーム配信をしたり、昼から夕方迄5時間ゲーム配信後、同日夜に企業案件をやって、深夜に別なゲーム配信をするといったサステイナブルでなさそうな方を見かけたりします。

そういう化け物のようなVtuberが上位を独占していると思うのですが、体を壊したら元も子もない中で、どの程度働き方に規制をかけるのかは運営側も悩ましいと感じていると思います。

おそらく、運営側はVtuber個人事業主として契約しているのではないかと思いますが、アメリカで控訴裁判所がウーバーやリフトの配達員を従業員として扱うようにと命じる判決を出した事が話題になっていますが、仮に長時間配信行ったVtuberが体調に変調をきたしたとしたらかなり問題になると思います。

振り切れた内容は確かにバズりやすいですが、ある程度の歯止めはかけざるを得ないと思います。

〈炎上対策〉
ネットはただでさえ揮発性が高い中で、最近はコンプライアンスに反する発言は容易に炎上しますから、炎上対策は大変重要だと思います。

過去の炎上事例は枚挙にいとまがないでしょうから、自社や他社の実例を使ってVtuberを地道に教育していくしかないと思います。

また、いざ炎上したとしたら後手に回らずに先手を打った対応が必要だと思います。1番重要なのは、アクターを守る事だと思いますが、アクター自身が宜しくない行動を行った場合の毅然とした対応も必要な訳で、運営はリスク管理に詳しい人材の確保が今後重要であると思います。

〈採用活動〉
声優志望者は相当な人数に登るにも関わらず、実際に声優を仕事に出来る人はほんの一人握りと言われている中で、おそらく採用はしやすいのではないかと思います。

そして、諸事情で活動を停止したVtuberが別のVtuberになる(転生というらしいですが)ケースもあるそうです。

ただ、しゃべりが出来て、ゲームとか絵がうまい、英語が話せる等の特技がある人材となるとそうそう逸材はいないでしょうから、人材獲得競争は熾烈だと思います。運営としてのフォロー体制、企画力、所属しているVtuberがどれくらい魅力的なのかという面も重要になってくると思います。

〈社会貢献活動〉
会社の規模が大きくなってくると社会貢献活動が求められるようになってきます。例えば献血のポスターに協力するとか、スパチャを多く投げてくれる国に対して何かお礼の企画をするとか、そういう事も求められるようになるかもしれません。

以上、いろいろ書いてきましたが、思ったより普通の企業と変わらなかったような気がします。世の中にはいろいろな事業がありますが、一番大切なのは人ですからね。