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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

アフターコロナにおける企業研修の在り方とは

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企業は人材育成が大切と言いながら、不況期に真っ先に見直されるのは研修だったりします。

しかも新型コロナウイルスの収束が見えない今、一般的な集合研修とはまさに3密の場で行われています。

企業の集合研修はほぼキャンセルと言われている中、研修会社にとってはビハインドの風が吹き荒れていますが、アフターコロナの研修を考えてみたいと思います。

まず、新型コロナウイルス禍を生き延びる事が出来る体力のある企業にとって、人材育成は益々重要な課題なってきますから、研修ニーズそのものは減ることはないだろうと言う事です。

ただ、例えば3日間などの複数日の集合研修を実施するという形態は今後かなり人気が低下するのではないかと思います。

コロナウイルスの影響で我々が感じるようになってしまった3密状態への嫌悪感はしばらく続くと考えられ、また計らずもオフィスワークは在宅勤務で問題なく仕事が回せてしまうという事に多くの人が気付いてしまった今、研修にも同じ様な視線を向けられるのは想像に難くありません。

そんな中で一歩先に行っているのはグロービスの動画学習をメインとした学び放題のオンライン学習だと思います。グロービスさんは営業が強引なのでやや苦手なのですが、おそらく今は大変引き合いが多いのではないでしょうか。

オンライン学習とは、動画などのコンテンツ系の学習と、Zoomなどを使ったリアルタイムの双方向型研修に分けられる中で、グロービスさんのグロ放題(この名称は正直どうかと)は主に前者で、後者は各社とも手探りであると思います。

ディスカッションやグループワークなどは、研修の中でも花形と言いますか、各社趣向を凝らしているものですから、これをZoomなどに置き換えるのは難儀だと思います。

例えば、カードを使ったりするような演習はオンライン化は思いっきり不利かなと思います。

そのような中で最近何社かの研修会社の担当者さんと議論したのですが、おそらく今ある集合研修の演習をそのままオンライン化しようとすると失敗するのではないかという点で意見が一致しました。

Zoomなどのweb会議システムの良い所は時間と場所を超えられるという点です。時差の関係さえなんとかなれば、海外と接続してもいい訳です。

少し遠回りかもしれませんが、web会議の特徴を活かして何が出来るのかを考え、研修を再構築して実行する事が大切だと思います。

リアルの価値を何処までオンライン上で再現出来るのか、例えば研修の実施前後にweb掲示板を開放して相互啓発を促したり、オンラインの演習を濃密なものにする為に事前のe-Learningを課したりなどする事等が考えられます。カードを使うようなゲーム性のある演習は思い切ってアプリにしてしまうという手もあるかもしれません。

その上で、やはりこの内容は集合しなければならないというようなコンテンツであれば、受講者も納得した上で参加するのではないでしょうか。

例えば、地方の活性化に関する取り組む研修で、現地の状況を体感したほうがいいような内容などです。但しこれも基本はオンラインで現地の人とやりとりして、対面は最小限が望ましいという事になるのだと思います。

また、研修のオンライン化のメリットとしては、子育てや介護などで、従来であれば研修受講を見送っていたような人達にも受講のハードルが下がるという側面があります。

そしてこれは新型コロナウイルスが発生する前から徐々に言われていた事ですが、研修のパーソナル化がより加速するのではないかと言う事です。

例えば、一口に問題がある管理職といっても、過干渉でマイクロマネジメントをしているパワハラ気味の管理職と、部下を育てる意識が希薄なネグレクト気味の管理職では、受けるべき研修が全く異なります。

また、テレワークが進む中で、このような管理職はますますマネジメントで問題を起こすことが予想されます。

そういう中で、一対一のカウンセリングに近いような研修が今後増えていくのではないかと考えられます。

集合研修で全員が同じ内容を学び、同じようなタイプに育てあげようとする昭和型の大量生産に近い研修はそろそろ寿命を迎えるのではないかと思われます。

ですので、結果として欧米型に近付くと思うのですが、濃淡はありながらも個別のニーズよって社員それぞれが異なる研修を受講するような流れになるのではないでしょうか。

と言うことは、これからの社会人は当たり前ですがずっと学び続ける必要があるという事です。

よって、アフターコロナの研修の世界は、オンライン化とパーソナル化が進行し、それに上手く対応した研修会社が大きな成功を納めるのではないでしょうか。

そして社員個人としてはそのような機会を自らの意志で積極的に学び、スキルを更新し続けていくという、ある意味当たり前で、ある意味厳しい世界がやってくるのではないかと考えます。