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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

日本とドイツのPCR検査数の差で、NHKの超絶 凄ワザ!を思い出した

日本の新型コロナウイルスPCR検査数がドイツの1/14しかないという新聞記事を見て、以前NHKで放送していた「超絶 凄ワザ!」という番組を思い出しました。

2015年に放送された岡本光学加工所とドイツのシェフラー社の「真球頂上決戦」という回で、重さ500g以下、直径は50mm以内、素材は自由という条件で球を作成し、30メートルの平行な台上で玉を2回転がして、長い距離を転がったほうが勝ちというルールによる勝負でした。

結果は岡本光学加工所が30メートル転がしきって優勝という感動的な結果となり、日本有利のルールだなと思いましたが、理由は後述したいと思います。

岡本光学加工所の真球作成方法ですが、シリコンの原材料を機械で大まかに球にしてから、ひたすら手作業で1/1000ミリ単位の加工をして真球を作り上げるという恐るべき匠の技によるものでした。

一方でドイツのシェフラー社はベアリングの会社ですから、真鍮を大量に加工する技術を応用して、大量に作成した中から、真球に近いものを2個選ぶという手法を採用していました。

ちなみにシェフラー社のホー厶ページにこの時の挑戦を漫画にしたものが公開されていて面白かったです。https://www.schaeffler.co.jp/content.schaeffler.jp/ja/index.jsp

真鍮の場合、30メートルを真っ直ぐ転がすには真球であることも重要ですが、重心の位置も大事だったそうで、確かに重心がズレていたら左右どちらかに曲がっていきますからなるほどなと思いました。

その点シリコンは重心をあまり考えなくて済むような気がしますから、素材としての利点があったかもしれません。

さて、ルールなのですが、2回球を転がして長い距離に到達した方が勝ちというルールはかなり日本チームの有利に作られているなと思いました。

確かにシェフラー社の2018年の売上は約130億ユーロ(約1.8兆円)という巨大企業ですから、日本有利にしなければ勝負にならないというのはわかる気はします。

うろ覚えなのですが、確かにシェフラー社は使用する球を6個ほど会場に持ち込んで、そのうちの2つを使用していたような記憶があります。

番組を見ていた当時、例えば6個使って平均の距離を競うルールだったらシェフラー社の勝利だなと思った事を覚えています。

匠の技は確かにとてつもなく凄いのですが、大量生産勝負になったら勝てません。

この回は特にグローバル企業を向こうにまわして日本の匠の技が勝つという極めて日本人好みの番組ストーリーで、ネットでも当時かなり話題になったと記憶しています。

日本人は苦難にめげずに極めるという話が本当に大好きで、エンジニアリング志向というよりも、職人志向なのだと思います。

合理的に考えると、生産工程を機械化して、重心と形状を真球に近づけたマテリアルを使用するという方が大量生産とコスト圧縮に繋がります。

一方、匠の技は大量生産には向かず、技術者の育成にも時間がかかるものです。芸術品ならそれでいいと思いますが、あくまで工業製品については、生産工程の確立と品質のバラツキの少なさが重要です。

話は長くなりましたが、PCR検査についてです。医療関係者ではないので、素人考えになりますが、シンプルに考えるとPCR検査における全工程のうち、ボトルネック工程になっている部分は一体どこなのかという視点が重要だと思います。

検査キットの少なさなのか、体調が悪い人が検査をしたいと思った時の問い合わせ先の電話がパンクしているのか、検査が出来る医療関係者が不足しているのか、検査場所の感染を防ぐために非効率になっているのかなど、エリヤフ・ゴールドラッド先生の制約理論を活かしてボトルネック解消に全力を注ぐべきだと思うのですが、あまりそのような考え方はなさそうです。

例えば、問い合わせの電話対応がパンクしているのであれば、人員を増やすとか、予約のウェブシステムをyahoo!DeNAあたりにお願いすればすぐ作ってもらえると思います。

ちなみにドライブスルー検査はボトルネック工程の解消になっているとは思いますが、本当に効果的に検査数を増やすという意味では、その前工程が真のボトルネックになっていないのかという確認も重要だと思います。

やはり日本人はデータに基づいた冷静な議論と意思決定が苦手で、自分の経験や興味に基づいた情緒的な議論をしがちで、一部の献身的な方々の努力と、大部分の常識的な方の協力と、非常時の集団監視体制(ネット自警団とか)で何とかしようとするように見える訳ですが、相当な疲弊を生み出していると思います。

もっと合理的で根有効な対策が打てないものかなと思う次第です。