グーグルの手法を使ったら圧倒的な業務効率化が出来た話
さぷさんです。元プログラマーです。
この前暇だったのでEXCELの定例業務をVBAで自動化してみました。手作業だとフィルタやら並び替えやら使ってリストを作るのですが、手順が明確であればVBAに出来ます。
今まで手作業だと15分くらいかかっていた作業がVBAの自動化によって1分で終わるようになり、めでたしめでたしであった訳なのですが、人間というものは欲が深いもので、この1分の待ち時間が長く思えて来るのです。その間に他の作業でもしてればいいのかもしれないのですが、1分は中途半端です。
なんとかこれを短くできなかと思ったのですが、僕は残念ながらプログラミングは一応出来るものの才能はありません。
プログラミングはソースの保守性の問題はありますが、10名の凡庸なプログラマーより1名の天才の方が生産性が高いというような世界だったりします。弊社にもきっとそのような人材がいるはずです。
ということで、オープンソースと以前読んだグーグルの仕事の進め方を駆使して他者の力を借りようと思い、実行してみました。
弊社にはなんでも書き込んでいい掲示板があって、珍しくゆるく活用されています。鉄道好きが集まる掲示板とか、子育て中の社員の情報交換とか、テック系の掲示板もあります。
テック系の掲示板はあまり盛り上がってないのですが、部外に出しても大丈夫な状態だけにして、VBAを公開して、この動作を早くしてくれないかと投稿してみました。
投稿する際は工夫をして、処理が終了したらその時間がメッセージBOXで表示されるようにして、もしソースを改善してくれたらそれを僕のPCで計測しますというルールも合わせて投稿しました。
PCで計測する際は他のアプリケーションは閉じ、PCを再起動した上で、ネットワークをオフにして3回計測して、一番早かった時間をと条件を明確にしました。
ハードによる処理時間の差をなくす努力をして、こういうチャレンジに参加してくれるような人達が気にする部分の対策を予め行っておくことが重要でだと思います。
反応がなかったらどうしようと少し心配だったのですが、投稿して2時間くらいで最初の返信があり、処理時間がいきなり10秒に短縮された改善VBAが投稿されました。
上記の条件で計測し、その時間を掲示してお礼を返信しました。
その後、その改善してくれたVBAをさらに改善した投稿をしてくれた人がいて、処理時間が5秒に縮まりました。
最終的にはVBAの神みたいな社員が降臨して、処理時間がまさかの0.5秒に短縮されたのですが、やはりそういう人の書くソースコードは簡潔すぎてよくわからない訳ですが、じっくり見て勉強したいと思います。
この間わずか1日です。朝投稿したら夕方には0.5秒になっていた訳で、処理時間が1/120になった訳です。投稿してくれた人も楽しかったと言ってくれて、僕も便利になったという貴重な体験でした。
いったいこのどこがグーグルの手法なのかと言いますと、レベルの差はあるのでお恥ずかしい限りではあるのですが、グーグルは動くものでないと評価がされないというカルチャーがあるようです。
パワポとかで見栄えのいい資料を作っても多分評価がされなくて、何か具体的に動くものが評価されると言うことなので、僕も動くものを示す事で興味を持ってもらう事が出来ました。
またグーグルは全ての開発中のライブラリは公開されていて、20%ルールも相まって、興味深い開発中のアプリケーションには他のエンジニアも集まるそうです。
ですので、興味を持ってもらうために掲示板に投稿して、処理時間を競うようなゲーム要素を入れる事で今まで一度もやりとりをしたことの無い社員が改善を繰り返すというサイクルを自発的に行い、たった一日で僕なら何日かかっても出来ないような改善が実施出来ました。
おそらく参加してくれたのはエンジニアの社員が中心で、彼らにとっては休憩時間ちょいと書き換えるくらいの簡単な内容だったとは思うのですが、集合知の凄さを思い知りました。
おそらくGitHubはこれがさらに高度で有用な仕組みなのかなと想像します。
テック系だとこういう事が進んでいますが、事務屋の企画や業務フローの効率にも応用は可能だと思います。
ただ、その際には目的を明確にして情報は完全にオープンにしておかないと、意味を取り違えられて間違った方向に進められてしまったり、そもそも興味を持ってもらえないかもしれないので、ゲーム的に楽しめるルールをしっかり作っておくことが重要だと思います。
例えば、企画業務をオープンにして、複数グループに競ってもらい、審査員の投票で採用する企画を決めるというような事は既に行われていると思いますし、半導体製造装置のディスコが実施している社内通貨の仕組みも似たような発想によるものかもしれないと思います。
ちょっとグーグルから離れてしまいましたが、他部門の人にも興味を持ってもらえる仕組みを作って、得意な人に活躍してもらうというのは理にかなっていると思います。