さぷさんです。学生の頃企画職につきたいとぼんやり考えていましたが、いざ企画職になると勉強しないといけないし、偉い人に話を通さないといけないし、現場からは反発されるし、大変だと感じている次第です。
さて、2021/8/26付けの日経新聞の朝刊に以下の記事がありました。
コクヨ、行動歴で職場変革 社員1000人の意欲も計測
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75123240V20C21A8TB2000/
「文具大手コクヨは自社社員1000人の働き方データを分析し、社員の能力を引き出すオフィス設計に取り組む。2022年度にも企業向けサービスとして提供する。設計はこれまで感覚頼りだったが、行動履歴や意欲などを測り、成果が出やすい職場をデータで示す。テレワークの普及で本社の移転・縮小が増えるなか、コロナ後の新しいオフィス像を追求する。」
だそうです。コクヨはオフィス家具とオフィス用品の通販が主力事業で全体の売上高の8割強を占めるそうです。
弊社も本社の出社率が現在3割程度ですので、ごく単純に考えるとオフィスの什器が7割不要になる中でコクヨさんの危機意識はとても強いと思います。
なんでもコクヨさんの社員1000名が実験台となり、スマホを常に持ち歩き、各フロアの机などに設置されまくったビーコンが行動を把握してビッグデータにしつつ、月に1回エンゲージメントテストをする事で充実している社員の傾向やそうでない社員の傾向を明らかにするそうです。
個人的には新たな取組は是非否定せずにチャレンジしたほうがいいと思っていますが、この取り組みで心配な点や気になる点があるのでその事について書いてみたいと思います。
このような社員のパフォーマンス計測のご先祖はフレデリックテイラーの科学的管理法だと思うのですが、確か工場で工員の作業時間を計測したところ、それがインセンティブとなり、作業時間が計測時は早くなったといういうようなエピソードを本かインターネットの記事で読んだ記憶があります。
つまりどういうことかと言いますと、人に見られているというだけで行動に変容が現れる可能性があると言うことです。
1社員の立場から言いますと、自分をローパフォーマーと見られたくがないために無駄に他部署に顔を出したりして迷惑がられる可能性があります。
また、常時スマホを持ち歩かないといけない訳ですが、行動を監視されたくないが為にわざと自席にずっとスマホをおいたままにする社員もいるかもしれません。
あと気になるのが、オフィスの行動のみをビッグデータにしようとしているため、パソコンでやりとりしているデータは判断に使用できないと言うことになります。
ですので、優秀な社員であってもメールのやり取りを好む社員もいれば、フットワークが軽い社員もいるため、オフィス空間の行動とパソコンの使用の両方を分析しないと有効な結果が導き出せない気がします。
また、例えば弊社の超優秀で尊敬している先輩がいるのですが、どうしても通したい案件があった時に、担当役員の出社時間を確認し、朝偶然合ったようにみせかけ、エレベータートークで事前の了承を取り付けたというエピソードを教えてくれたことがありました。
極端かもしれませんが、このような行動は執務フロアにビーコンを置いているだけでは把握する事が出来ません。
あと、実証試験が自社社員1000名というのもやや少ないような気がするのと、優秀な社員とローパフォーマーの社員の行動の傾向を把握すると言う意味ではノイズを拾ってしまう可能性と、逆に有効な行動の見落としの可能性があり、パラメーターの調整は大変だと思います。
個人的には優秀な社員は在宅だろうがアウトプットを出すという身も蓋もない結論になりそうな気がしないでもないですが、2022年にサービスイン予定だそうなので続報を興味深く待ちたいと思います。