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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

靖国神社のプリキュア

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さぷさんです。うちの母方のじいちゃんは満鉄で車掌をしていたらしいです。

さて、僕はいま東京で単身赴任中で基本的に土日が暇で仕方ないのですが、そういえば靖国神社にきちんと行ったことがないなと思い、行ってきました。

九段下から靖国神社に向った訳ですが、上の写真にあるように第一鳥居の大きさに圧倒されます。

道幅がかなり広く、また上り坂であるために第一鳥居の時点では神社の本殿はまだ見ることが出来ません。

また、靖国神社明治2年に建てられた招魂社が始まりですので、決して古くからある神社ではないという事になります。

そして靖国神社で特徴的だと思うのは動線の直進性だと思います。実際に歩いてみて日本の神社でこれ程までに直進性が意識されているのは他にないのではないと思ったのですが、横幅30メートルくらいあるのではなかろうかという緩やかな坂を登っていき、本殿に向かって直線に伸びる道をひたすら歩く訳ですが、誇張でもなんでもなく国家と向き合うような気持ちになります。

人によっては高揚感があるでしょうし、また別の人は軍靴の音が聞こえるとの嫌悪感を示すのではないかと思うのですが、舞台装置としては非常に近代的な空間構成なのではないかと思いました。

そして本殿でお賽銭を入れて二礼二拍一礼をした後、遊就館に向かいました。

ツアーなどがないせいか、かなり空いていてゆっくり回ることが出来たのですが、いろいろ話題になることも多い遊就館を今回はじめてゆっくり見学することが出来ました。

展示品は膨大で、戦国時代から終戦後までの展示物や説明書きがあるのですが、なんといっても第二次世界大戦の展示が圧倒的なボリュームを占めています。

第二次世界大戦のゾーンの始まりは戦争に至る過程の説明になっていまして、石油があと2年しか持たず、鉄も石油もアメリカ依存だったので資源戦略上仕方がなかったというような解説になっていました。

それは確かにその通りだと思うのですが、その2年で片をつけようとした対米決戦思想の海軍と、南部仏印で資源獲得すべきと考えた陸軍はやはり最初からちぐはぐだったのではないかと思います。(海軍陸軍もそれぞれ一枚岩ではなかったようですから、実際はこんなに単純ではないと思いますが)

そこからは歴史が示す通り敗戦への一直線で、亡くなった日本人の軍属は230万人だそうで、当然日本人も対戦国の人たちを殺めている訳ですから、その歴史が目の前に立ちはだかりますので、暗い気持ちになります。

遊就館は歴史の事実を冷静に記録するという事ではなく、英霊を顕彰する事が主な目的ですから、そういう事だと理解して見学することが大切だとは思うのですが、服部卓四郎と辻政信関東軍暴走コンビは展示の中にはなかったような気がしますし、インパール作戦の展示はあるのですが、そこに牟田口廉也の名前は見当たらない訳です。

ですので、遊就館の展示というのは入口の展示内容から始まり、かなり工夫されているなと感じた次第です。

確かに当時は帝国主義というルールしかなかった時代であり、占領する側かされる側かのどちらかしかありませんでしたから、ありえないですが仮に平和主義を選択したとしたら、日本は当時の中国のように帝国主義国家に占領されて分割統治され、主権の回復に時間がかかったのではないかと思います。

英霊には感謝してもしきれませんが、日本も帝国主義のルールに則って他国を侵略した事実は忘れてはいけないと思います。日本の英霊は他国にとっては肉親や大切な人を殺した悪魔のような人物かもしれず、それは日本人を殺した他国の兵士自身にも同じ事があてはまる訳であって、事実というのは常に多面的であると思います。

帝国主義というルールがそもそも悪であって、そのルール下で動かざるを得なかった人達はすべて犠牲者と思うしかないかもしれません。

また、沖縄戦も悲惨を極めたという事実はありますが、コーナーとしてはあまり広いスペースはなく、そう言えば今気が付きましたが、広島と長崎の原爆のコーナーはなかったと思います。これも上に書いてある事の繰り返しですが、英霊の顕彰が目的としてあるという事であれば、そうなのかと思えます。

見学していて心がえぐられるのは、当時の人の家族にあてた手紙で、文章の最後に「それではさやうなら」と書かれていたりするのですが、これは確実に見た人に考えを迫る内容ですから、遊就館に行くときは心の健康状態が良い時に訪れたほうがいいと思います。

また、見学コースの最後のほうに、亡くなられた方々の写真が壁一面に掲示された区画があります。230万人のほんの一部の方なのだと思いますが、その方々が僕に対してこのように言っている気がするのです。

「おれは(あたしは)国のために死んだ。お前は何のためにいま生きているのだ」という声です。

そのような訳でくらくらするような気持ちで遊就館を出た訳ですが、靖国神社の隅に絵馬がありまして、僕は絵馬に書かれている事を読むのが好きなので、ふらふらとそこまで行ってみたのですが、だいたい合格祈願が多くて、靖国神社は学業も関係があるかしら?と思って眺めていたところ、かわいい字体の絵馬が目に止まりました。

「プリンセスになりたいです。もしだめならプリキュアでいい」

と書かれていて、「プリンセスになりたいです」の部分には丁寧にピンク色のペンで傍線がひかれていました。

文章の前半に比べて後半がいきなり雑な感じになるのと、プリンセスも難しいですが、コスプレを除くとプリキュアも相当に難しいと思う中でかなり笑ってしまったのですが、客観的に僕は絵馬を見て笑っているおっさんだった訳で、傍から見るとかなり危ない人だったと思います。

プリキュアになるのは困難だと思いますが、心が暗くなっていたおっさんを救ってくれたのは間違いなく事実です。この場をお借りして感謝申し上げます。どうもありがとうございました。