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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

いざこざやトラブルには強力な調停者が必要

さぷさんです。シネコンで「シン・エヴァンゲリオン」を見てから約一年が経つのですが、なんとなくまた見たくなってアマプラで見てみました。

そしてあらためて気づいたのは、真希波・マリ・イラストリアスの出番の多さとその重要性でした。

オープニングのパリ旧市街での戦いから始まり、第三村パートでの出番はありませんでしたが、それ以降はほぼ出ずっぱりと言っても過言ではないかと思います。

マリの初登場は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」ですから、キャラ的には新参者であるのに、「シン・エヴァンゲリオン」ではシンジくんを除くと主役といっても差し支えない活躍っぷりと、多くのエヴァファンが驚いたマリエンドでした。

巷では、マリは庵野秀明の奥様の安野モヨコではないかとの意見が多かったと思いますが、庵野秀明も確かにそのへんは否定していた記事を見た記憶がありますし、そう単純な投影ではないと僕も思います。

僕が思うマリの理解は、デウス・エクス・マキナと言いますか、これが言い過ぎだとすると狂言回し的な役割としてエヴァを終わらせるためのキャラクターだったのではないかと思っています。

それはもしかすると本来は渚カヲルの役割だったのかもしれませんが、シンジくんを立ち直せるためにループものを思わせるような棺が月に数え切れないほど並べられてしまうという、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のトム・クルーズも真っ青になりそうな運命を押し付けられてしまい、その氏名の通りエヴァQではDSSチョーカーの呪いを引き取って死んでしまいます。

シン・エヴァでも終盤の大切なシーンで復活しますが、ほぼ万能でシンジくん全肯定のカヲルくんを持ってしてもエヴァの物語に組み込まれてしまい、そこから抜け出す力を持たせられなかったのだと思います。

それほどまでに庵野秀明の自己嫌悪の感情が強かった言うことだったのだと思うわけですが、調停者というのは既存の物語に属すことなく、それ故に「それって別にどうでもよくない?」みたいな感じで解決の道筋を強引につけてしまい、実際にそれを達成してしまう人であって、エヴァという物語はマリという調停者を必要としたのだと思っています。


さて、ここからは話が全然変わりますし、スケールが小さくなってしまいますが、僕が今の会社に入ってからのおそらく最大の貢献は中途入社してから確か2年目くらいのシステムの大改修だったと思っています。

全社的なシステムだったのですが、コード体系がめちゃくちゃになってしまっており、全く理解が出来ないものになっていました。

複雑さによるミスも頻発していましたし、BIツールを使用して偉い人も見れるようになっていたのですが、見たところでさっぱり理解ができない中で役員が怒ってしまい、そのシステムのおもりについてまだ一年ちょっとの僕が改修を担当することになったのですが、ある意味役員案件ですし、僕も個人的にもまずいコード体系だとは思っていた中で、最終的にはかなりの金額をかけて、冗長性も考慮したコード体系にすることができました。

なぜ僕が入社してまだ間もないといえる時期にこういう仕事ができたのかと今あらためて考えますと、逆に入社して間もない時期で、アウトサイダーとしての立場を有効に使えたので、仕事を完遂できたのではないかと思った次第です。

おかしいことをおかしいと言えるのは(言い方は気をつけなければならないものの)最大の強みと言えますので、当時の僕は「これっておかしいですよね?」というのを自分の立場を使いつつ、ステークホルダーに説明して回ることで、同意を取り付けることが出来たと思います。

今は逆に会社の所属歴が長くなってしまい、既存の仕組みを支えている側である中で、抵抗勢力だけにはなりたくないと思っています。

前例踏襲は楽ですが、やっていることが昨日と同じということばかりでは、進歩がありません。


さて、また、話は全然変わりますが、調停者といったときに頭に思い浮かぶのが日露戦争の講和の調停役であるセオドア・ルーズベルトです。

吉村昭ポーツマスの旗はぜひ読んでおく名作だと思いますが、この頃の戦争はまだぎりぎり騎士道精神が残っていると言いますか、日本海海戦で破れたロジェストヴェンスキー中将も捕虜になっても堂々とした振る舞いですし、ポーツマス条約の締結における米国の立場は、米国のアジア戦略もあって、終始日本寄りでしたが、調停者として戦争を集結させる役目を果たしたと思います。

翻ってロシアのウクライナ侵攻ですが、ロシア側の内在理論としては、伝統の南下政策がありますし、衛星国を緩衝帯としておきたいというのは、ナポレオンとヒトラーにそれぞれモスクワ陥落直前まで攻め込まれたという国家のトラウマがあり、身内だと思っていたウクライナNATOに加盟しようとするということは、ロシア側からすると到底認められない行動だという思考は理解できますが、それを持ってしても民間人を巻き込んだり原発施設に攻撃したりする暴挙は到底認められるものではありません。

ただ、逆に言うとロシア側の主観としてはそこまで、追い詰められた上での軍事行動ということだったのかもしれません。

日露戦争では調停者だったアメリカという国自体が内戦というか、分断のような様相を呈してしまい、調停が出来るような国が見当たらない中、今回はロシアが悪手を打ち続けているので民主主義国家や企業はロシアへの制裁になんとなく一枚岩になりつつあるように感じます。

ただ、今回のロシアのように明らかに他国から見れば大義のない侵攻ではなく、もっと狡猾な戦略とその実行であった場合は、強力な調停者なしには和平の道筋を描くことが難しいと思いますが、私達はそのような時代に突入してしまったのかもしれません。