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さぷログ

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【書評】レッドアローとスターハウス

この本は滝山コミューン1974で有名な原武史先生の本です。一年くらいかけてなんとか読み終わりました。レッドアローとスターハウスというタイトルに惹かれて買ったんですけど、レッドアローもスターハウスも本の中での扱いはかなり少ないというある意味驚きのな本です。

原先生は空間政治学を提唱されており、日本の政治の変遷等のやや抽象論で一般的になりがちな研究をもっと具体的にすべきとのお立場からこの本は展開される訳ですが、実際にどういう事になるかというと、団地の自治会の詳細を固有名詞を交えて考察するといった、読者としては予備知識ゼロの場に放り出されて読むのに大変難儀する章がかなり存在するという一般書にしてはかなり特異な本になってしまっていると言えるのではないでしょうか。

また、原先生の西武線と東京西部や埼玉南西部あたりに対する思い入れの強さが本の髄所ににじみ出でいるのですが、西武線には1、2回くらいしか乗ったことがない読者としてはなかなかつらいものがありました。

勉強になったのは中央線沿線や東横線沿線はなんとなく文化の香りがするのに対して、西武線は私鉄の中ではそこそこ歴史がある部類だとは思うのですが、沿線イメージがあまりこれといったものが僕の中でなかった中で、革新系が強めで地域的にも高額所得者といつよりも中産階級が多く、滝山コミューンを生み出す下地はあったのかなあと想像力出来ました。

あと、西武線はご存知の通り堤康次郎が豪腕で作り上げ、アメリカ志向が強い中で、革新系が強い地域になってしまったという歴史のあやがあるというのがこの本のひとつのテーマだと思っているのですが、この内容は各章に断片的に出てくるもののあまりウエイトは占めておらず、もう少しこのテーマで読んでみたいと思った次第です。

逆にこの地域に住んでいたり、西武線ファンならお勧めだと思います。繰り返しになりますがレッドアローとスターハウスはこの地域の象徴だとは思いますが、本の中ではほとんど出てこないのでご注意下さい。