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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

コミュニケーションのアップデートについて

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人とのコミュニケーションの取り方はその人が元々持っている気質や育ち方、社会人についてなってからの仕事によって規定されているような気がしています。

例えば、勝つか負けるかみたいな世界観が強い人にとっては、コミュニケーションにも勝ち負けの規準を導入しているような気がしてなりません。

尚、今回のエントリーでいうコミュニケーションとは、友人やパートナーといった人達とリラックスしてやりとりではなくて、会社や取引先とのビジネスのやりとりにしたいと思います。

コミュニケーションに関する世の中の価値感もここ数年でだいぶ認識が変わってきていると感じています。

傾聴と褒め、1on1ミーティング、フィードバックあたりはかなり認知と実践をされつつあるのではないでしょうか。

従来型の「上の言うことは絶対」「会社への忠誠」「長時間労働は美徳」で、一方「成果がなくてもなんとなく有耶無耶にしてしまう」というThe昭和的メンタリティは基本的にはバブル世代が最後で、彼らももう50歳を超えましたから、あと数年でこの層が会社の中核から外れればさらに流れは加速するのではないかと思っています。

さて、最初の話に戻りますが、コミュニケーションという漠然としたテーマだと散漫になりやすいので、身近にいたことがある方を具体例でいくつかあげてみたいと思います。


事例1「騒ぐ」
定年後最雇用で働いていたAさんという方がいました。

パソコンが趣味で、IT関係には詳しい方だったので、職場のIT担当みたいな仕事をされていました。

よくある話ですが、企業のIT関連の仕事はかなり煩雑だったり、本社に問い合わせてもなかなか回答がなかったりしてストレスフルだったりします。

僕は本社のIT部門にも、別な部門の末端にもいたことがあるので両方の立場がわかるのですが、Aさんは本社勤務した事はありませんでした。

何かと本社の不満を口にされていたのですがあるとき「本社が何を言っても動かないときは、相手先の上司を写しに入れてメールするとか電話するとか、とにかく騒ぐ」と仰っていました。

本社側も確かに問題はある訳ですが、騒ぐは穏やかではありません。

「あなたの問題解決のやり方は騒ぐですか」と喉まで出かかりましたが言うのはやめておきました。


事例2 「敵か味方か」
Bさんは、かなり上の人だったのですが、周囲の人を敵か味方かという見方をしていたようで、かなり困ったお方でした。

僕は幸い味方認定をしてもらっていたのですが、敵か味方か、好きか嫌いかで仕事を進める人であったので、正式なラインの仕事でいくとXさんに指示しなければならないような内容でもなぜか僕に言ってきたりして、かなり難儀しました。

結局組織が相当ごちゃごちゃになり、スタッフ間もギスギスしだして、嫌われている課長クラスは何も出来ないという状態になり、本社もそれを聞いたのか、Bさんは異動になりました。


事例3 「不信感」
Cさんはいわゆるお局様なのですが、ちょっと扱いが悪いと思われてしまったら猛烈に機嫌が悪くなります。

幸い僕は良好な関係を保っていたのですが、内線電話がかかってきた時はちょっとした雑談をしてから本題に入るというがお作法になっていました。

こっちはめちゃくちゃ忙しいので要件を早く話して電話を切りたいのですが、一度それをしてしまったところ、話し終わる前に電話を切られてしまった事があって、それ以来はいくら忙しくてもそんな声色は出さず「Cさんも本社で大変ですよね〜」というような話を欠かさずしていました。

おそらく、根底に人に対する期待とそれに裏切られてきた不信感というがあるのではないかと思っていました。ただ、こういう方はよくいますよね。


事例4 「自己承認欲求」
「おれ忙しいんすよね〜」「おれ結構頑張ってるんすけどね〜」というが口癖のDさんという30半ばのスタッフがいました。

確かに1番残業してるんですけど、しょっちゅうタバコに行っていたり、ひとりよがりで仕事を進めてしまい、上司が介入するしかなくなったりして、周囲からの評判はさっぱりでした。

誰しも自己承認欲求はありますし、若い時はなおさらですが、相手がいてこその仕事ですから、主語を自分にし続けている限りDさんは厳しいだろうなと思いました。

星野源もsunの中で「君の声を聞かせて」と歌っており、「僕の歌を聞いて」ではありません。一流アーティストであってもです。


事例5 「自分が常に主役」
Eさんは学生の頃演劇で主役をしていたようなのですが、常に自分が主役でないと気がすみません。事務局業務などは裏方の最たるものだと思うんですけど、Eさんは事務局側の話が長く、ややもすると説教するような感じになってしまっているのに全く気がついていないようでした。


事例6 「引導を渡せる」
Fさんは大学の体育会の監督です。強豪校なので部員が多くいる中で、全員が試合に出られる訳ではありません。レギュラーはその中でごく一握りです。

練習は真面目で、周囲にも気を配れる部員がいたそうなのですが、サブに入るのも難しい状況で、Fさんの見立てでは選手としての伸び代も厳しいとの事でした。

ある日Fさんはその部員に「君は選手としては厳しい、マネージャーにならないか」と言ったそうです。その部員は泣き崩れたそうなのですが、自分も薄々才能が無いことは分かっていたので、マネージャーを受け入れたそうです。

Fさんに「引導渡すのしんどくないですか?」と聞いたところ、「しんどいよ、でもこちらが真剣に話したら相手も聞いてくれる」と仰っていました。


以上6例あげてみました。

1例目の何かあった時に「騒ぐ」という行動を取ってしまうAさんを例に取ると、本社勤務をした事かなくて、本社がどういう理屈で動いているかわからない。自分の上司もIT には詳しくないので頼れないため「騒ぐ」という基本OSがインストールされてしまったのだと思います。

ただ、社会人ですから「騒ぐ」はあまりいい表現ではないですし、おそらく本社ではやっかいな人扱いをされていたと思います。

他の残念な事例もそうなのですが、ある人が仕事や交渉でコミュニケーションを取ろうとする時にはその人の基本OSが起動します。人それぞれですし、この人は異常系しかないんじゃなかろうかというやっかいな人も正直います。

最近読んだ本に、交渉ごとでコミュニケーションを取るときは必ず何かしらの目的があるはずなので、ゴールの設定とインプットデータと、ゴールに至るまでのロジックと各変数を調整していけば必ずゴールに辿り着けるといういう考え方をするとよいというような事が書いてありました。

もしかすると自分が希望していたゴールとは少し違う内容になったり、達成度合いが低くなっててしまうかもしれませんが、場合によっては利害関係が一致しない相手もいる中で膠着するよりも物事が少しでも前に進んだ方がいい訳です。

その際に重要なのが、自分と相手が一体どこで引っ掛っているのかを正確に知ることです。

相手が難色を示すのは、予算なのか、納期なのか、承認プロセスが複雑なのか、単に忙しいのか、何か他にボトルネックがあるのか、どの引っかかりポイントを解消すれば相手が歩みを進めてくれるのかという事を考え、仮説を立てて相手に確認していくプロセスが大変重要だという事です。

繰り返しになりますが、ロジックとパラメータの変数を調整し続けて、ゴールまで至るプロセスを決して諦めないという事がコミュニケーションを取るときの基本OSの動かし方だという事です。

その為には自分からも積極的に情報を開示すべきでしょうし、何より相手との基本的な信頼関係が必要です。

例7のFさんは部員に慕われる名監督なのですが、恐らく部員をしっかり見て、要所要所で声がけしていて、人間的にも尊敬が出来る方なので、部員も引退を受け入れたのだと思います。

コミュニケーションをコンピューターに例えるというのは、有効かもしれないと思いました。