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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

トヨタの人事部もあかんですか。

さぷさんです。いつになるかは分かりませんが、このブログもそのうち実名顔出しがいいなと思ってます。顔が見える個人が活躍する時代ですからね。

さて、少し前にトヨタの人事部を3年でやめた方のnoteが話題になっていました。

僕はなぜトヨタの人事を3年で辞めたのか
https://note.com/kazushi_takagi/n/nc5076eda7a2f

以下のくだりなど、なかなか衝撃的な記述になっています。

「3年目も後半に差し掛かってきて、ふと周りを見渡すと、10人いたはずの人事同期は既に半分以上が辞めていた。」

2年前の状況だと言うことですが、トヨタの人事部もなかなかあかん感じです。中途入社比率を上げるというニュースもありましたが、やむにやまれぬ事情があるという事なのかもしれません。

詳細を拝見すると、元々は調達への配属を希望されていたところ、人事部への配属となり、給与計算や福利厚生のグループ会社に出向になり、2年目の後半で労政室に異動になったそうです。

労政と言えば人事系の部門の中では最重要の部門なので、2年目の後半で異動というのは相当に優秀でかつエリートコースです。労使協調の中では最強のトヨタ自動車労働組合とやり合うわけですからね。そういう事を当時の上司はしっかり説明されたのかどうか気になります。

また一方で、10人いた同期が半分以上やめたという事ですから、少なくとも3年以内に6人が辞めてしまった中で、人のやりくりがトヨタであっても苦しい中での異動であったかもしれません。

ただ、エントリーの中でも、異動については納得されていないように見受けられますので、やはりしっかりした説明はなかったのではないかと思います。

最近の若者は長期雇用に期待せず、給与水準、仕事内容、数年以内の獲得能力にこだわると言われています。

自動車だとCASEでしたり、VUCAの時代の中で経営者は外部環境の変化に対してはかなり敏感で打ち手の検討と対策を進めていますが、激変しているのは社内の若手や中堅の労働感や会社に対する関わり方も考え方の変化も同様に激しいものになっています。

組織は規模が2倍なると表面積が2倍、体積は3倍になります。組織を維持するだけでも相当な労力が必要です。

制度というものは、今起こっている事象に後追いで作るというものであるため、作った時点で既に古いものである事が多いというのが制度という仕組みが持っている構造的な宿命です。

制度は常にアップデートが必要ですが、大企業では少し変更するだけでも多大な労力が必要です。

ただ、大企業の全てが悪いかというとそういう事ではなくて、デイビッド・アトキンソン氏が言うように、日本の生産性の低さは、中小企業に手厚く、規模の経済が発揮されてないという点にあります。

そして規模の経済は分業が前提となります。

さらに、メーカーというものは誰かがボルト締めたり、経理伝票を処理したり、CADで設計したりと、社内エッセンシャルワークというものは必ずあるものです。

労働における納得感とは、仕事を任せる際のしっかりとした説明と、情報共有、自己決定感です。

マネージャーはオーバーコンプライアンスとハラスメントや過剰労働への注意という足かせがかけられているのは同情すべき点ですが、部下と真に向き合うことなく己のマネジメントの仕方を変えられないと、優秀な部下から辞めていきます。

特効薬と言うものはなく、自部門の仕事の意義と目的、部下と真摯に会話するという極めてオーソドックスな方法が一番有効なのではないかと思います。ただ、これはマネージャーの能力に頼った方法という弱点があります。

本気で組織から変えようとしたら、ディスコのような社内通貨の発行と運用もあると思います。

いずれにしても以下のコメントは若手の心の叫びです。

「閉塞感に、耐えられなくなった」
「自分の人生を生きている感じがしない」
「自分1人では何も変えられない」

大げさかもしれないですが、マネージャーは部下の命を使って一体何を成し遂げていくのか?と言うことです。上司だからと言う事を聞けというのはマネージャー失格です。会社を運営する側として、今の仕組みの問題を改善できない限り、会社が若者から見捨てられるというある意味真っ当な時代になったのだと思います。