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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

欧米系の調査やアンケートと日本企業の相性の悪さ

さぷさんです。大企業の管理部門の片隅でひっそり生きています。

さて、企業の管理部門にいると、様々な調査やアンケートの回答依頼が届きます。また何か来たなと思ってメールを読むと窓口部門から「大変申し訳ありませんが✕✕日までに回答下さい」などが書かれており、添付のアンケートをとりあえず開けたものの、そのまますぐにそっと閉じたくなるような分量があり、納期ってもう来週やないですか。みたいなことがそれなりによくあったりします。

また、日本のアンケートならまだいいんですが、欧米からのアンケートだとまず英語ですから、Deepl翻訳が大活躍する事になります。

機械翻訳が本当に使えるようになってきたので、英語であることはまあいいのですが、困るのは欧米系の調査やアンケートの内容です。

どうも彼らの質問を読んでいると企業統治性悪説に立って考えているのではないかと思えて仕方がありません。例えば罰則を設けているかとか、従業員からのエスカレーションプロセスはどうなっているか、などの質問です。

また、彼らはリスクを仕組みで解決しようとする意思を強く感じます。

つまり、会社の重要事項に専門性を持った役員で構成された取締役会を有し、それぞれの役員は自分が管掌する領域の委員会を持ち、ガバナンスを効かせる必要があるという企業統治の捉え方です。

日本の企業はこの部分の質問に大変弱くて、みずほ銀行のCIOも日経新聞によると人事系の方であると言うことですから、欧米からの見ると首を傾げるような企業統治に見えているのではないかと思います。ちなみにみずほ銀行を例に出させて頂きましたが、弊社も似たりよったりです。

Amazonジェフ・ベゾスが何かのインタビューで、「善意(良い意図)は役に立たない。仕組みだけが役に立つ」と言っていました。個人的には大賛成ですが、日本企業と相容れないフィロソフィーであると感じます。日本人は現場のひたむきな努力が大好きですからね。

欧米と一括にするのはよくないと思いますが、やはりアダムとイブが知恵の実を食べて、楽園を追い出されて、食べるために仕事をしなきゃいけなくなったという原罪として、労働という苦役があるという思想がベースにあるのでないかと疑っています。

トラファルガーの海戦でネルソン提督は「英国は各員がその義務を尽くすことを期待する」(England expects that every man will do his duty)」と言い、東郷平八郎日本海海戦で「皇国の興廃此の一戦に在り、各員一層奮励努力せよ」とのZ旗を掲げましたが、これは国民性に基づくフィロソフィーの違いですから、いいとか悪いとかではありません。

ただ、内部統制やSDGsなどの仕組みは欧米のものを日本に適用するケース多いため、この哲学の違いによる相違を感じずにいられませんが、溜まっているアンケートの納期も待ってくれませんのでそれっぽい事を書いて上司に持っていくという仕事をせねばなりません。