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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

【経済教室】日本型雇用改革の論点(下)企業越えた人材評価基準を :日本経済新聞5/25朝刊

【経済教室】日本型雇用改革の論点(下)企業越えた人材評価基準を : 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59450760S0A520C2KE8000/

小熊英二慶応義塾大学教授の「日本社会のしくみ」は読んでいたのですが、この記事は相当踏み込んでいて興味深かったです。

『いわば日本企業は各社が独立王国なのだ。王国内でしか通用しない地域通貨を使い、各企業の社内労働市場を動かしている。通貨の互換性なしに市場が生まれないように、各社が独立王国である限り企業を越えた労働市場はできない』

そうなんですよ。大企業の社員は自社のプロにはなりますが、職務のプロにはならないというのが日本の企業の大きな問題です。

「誰と誰が飲みに行ってた」とかいう噂話など社内政治ばかりしてても会社は1ミリもたりとも強くはなりません。

人事ローテーションを繰り返して会社をいろいろな側面から多角的に捉えるという点においては日本型雇用は優れていると思うんですが、今は自社で出来る事を出来る範囲でやるみたいな事だと不確実性が高い世界に対してさらにコロナが追い打ちをかけてきたので、内部の力だけでは生き残っていけず、外部の力の内部化が必要とされているのですが、それが全然出来ずに徐々に弱っていっているイメージです。

山一証券が経営破綻した時に転職活動で「部長が出来ます」と仰られた方がいたそうですが、それと似たような状況はまだ日本の大企業には残っています。


『日本は大学院進学率が停滞し、他国と比べ相対的に「低学歴化」しつつある。これは長期的には日本の国力低下につながりかねない。また修士号や博士号が評価対象にならない社会に高度人材が外国からやってくるとは考えにくい』

「日本社会のしくみ」でも世界における日本の低学歴の傾向は言われてましたが、世界の優秀な人材が日本企業を避けるため、高度人材が日本にやってこないという視点ではあまり語られてなかった気がします。(かなり分厚い本なので見落とした可能性もありますが)

弊社でも海外留学に派遣してMBAを取得して戻ってきた社員が、身につけた知識とスキルを活かす場がなく、立て続けに退職して問題になった事がありました。

2年間外国で必死に勉強した社員よりも、同じ2年間会社で社内コネクションを作って成果を出していた人間のほうが評価をされたら、やる気を失くすのは間違いないと思います。

留学制度は戻ってきてからの配属の戦略とセットで考えねばならないのですが、完全にMBAホルダーの宝の持ち腐れです。


『今回のコロナ禍は、日本の働き方を再考する契機となった。「まず隗(かい)より始めよ」で、経団連加盟企業が率先し、役員や部課長の公募を検討してはどうか。それが無理なら、この先も変わらないだろう』

弊社も役割が曖昧で一致団結して頑張るみたいな会社で、ポストが出世の双六なので、専門性を持たない人が全然畑違いの部門長に着任する事が良くあります。

AIなどの先端分野の重要ポストのスキルセットを明確にして社内外から公募するという方なら反発も少ないと思うのですが、「自分達だけでなんとかしたい」文化をなんとかしなければならないと思っています。