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さぷログ

メーカーの人事部門で働いています。

組織人(メンバーシップ型)より専門家(ジョブ型)

さぷさんです。バリバリのメンバーシップ型の企業に勤めています。

さて、春闘がスタートしまして、経団連と連合の主張の隔たりはますます広がっている気がしますが、ジョブ型雇用の注目度が高まっています。

メンバーシップ型の企業がジョブ型雇用に切り替える為には、ジョブ型に切り替える職種の仕事の棚卸をして整理し、その仕事に値札(年収)を付けて、人のアサインをしていくという方向になると思います。

社内で人材が調達出来ればそれがベストですが、いない場合は外部から採用するしかありません。

また、ジョブ型雇用は基本的に異動はなく、異動したい場合は社内公募制度で応募することになります。

制度としてはこのようになると思うのですが、個人としてはどのような働き方や意識の違いになるというのかという点ではまだあまり議論や認識の深まりがないように思います。

では、メンバーシップ型の雇用からジョブ型の雇用に切り替わる際の個人に起こる変化とはどういう事になるのでしょうか。

端的に言いますと、社員一人ひとりが専門家になる必要があると言う事です。

例えば僕は人事系なので、人事系の仕事でいうと、教育研修部門であれば、外部の研修に派遣したりするだけでなくて、自分が講師を務められるレベルが求められる訳です。

また、法務部であれば、重要な法務相談は弁護士事務所にお願いすることも多いのですが、全ては無理にしても例えばPL法であれば逆に社外からお金を取って相談を受けられるレベルに達する人材が求められます。

情報システム部門は、定期採用の正社員はプログラムも仕様も書けず、ベンダーコントロールが出来ていない状態になっているケースも見受けられ、システム会社からの中途採用者頼みという状況になってしまっていたりしますが、プロジェクトマネージャとして引っ張りだこになるようなスキルが必要になってくると思います。

大企業に勤めていると、特にコーポレート部門の社員は組織人としての社内調整がメインであって、制度設計や次期経営計画はコンサルタント会社に頼んだりしますし、上に書いたように研修は研修会社を活用します。

ジョブ型雇用の場合は専門家になれと言うことですから、自分がコンサルタントなり、研修講師なりになる事がより求められます。

もちろん、マンパワーが足りない場合は外部の力に頼る場合もありますが、その場合に自社と外部に対しての自分のスタンスは専門家として外部の立場により近くなっている訳ですから、メンタリティとしてはとても大きな変化があります。

組織人の悪い例として社内調整をろくにせずに、外部に丸投げするというような事は今後一切認められないという事になると思います。(メンバーシップ型雇用でもこんな事はしてはいけませんが、実際にはこういう光景を頻繁に目にします)

つまり、自分が専門家として摩擦を恐れずに会社に意見しなければならない訳です。そしてこの会社に意見しなければならないというのは、端的に言うと執行役員などの上位職種に対して意見しなければならないという事になります。

メンバーシップ雇用ですと、上に意見を上げるまでの緩衝材としての組織人がいましたが、経営者からはそれが不要と言われているわけです。

また、経営者自身としても自社のジョブ型雇用者であれば虚心坦懐に話を聞かないといけないですし、逆にアサインしている部下のスキルが不足していて、今後もキャッチアップする見込みがないと思ったらその職を解かなければならない訳です。また、それより何より自分自身が経営のプロでなければいけません。

ジョブ型をきっちりやろうとするとおそらくこういう事になる訳ですが、「本当にやるんですか?いいですね?やりますよ」という時期になってきているのだと思います。